ひだまりの日々[完結]
□八刻
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「やっと着いたね!」
「わー!にんげんさんがたくさんズラねー!」
「皆、迷子にならないようにね。」
「はいっ!わかりました!」
「おうよっ!」
屋敷から桜町まではかなりの距離だったが名無しのころころ変わる表情を見ていたらあっという間の道のりだった。
今も小妖達と手を繋ぎわいわいと前を歩いている。
土蜘蛛は後方で両手を繋がれた名無しの手を見ながらぼぅっと歩く。
「親方様〜。せっかく外に出掛けているのにあの子達に名無しを独占されてお淋しいですねぇ〜。」
「お主はこの間から何を言っているのだ!」
「あらぁ〜。気のせいではないと思いますけれど〜。名無しの事が気になる気持ち隠しきれていませんよ〜。今だってお屋敷を出てからずっと名無しから目をはなしておりませんもの〜。」
「!!」
「無意識だったのですか〜?でしたら相当名無しの事が〜……」
「やめんかっ!」
大将の雄叫びと共に雷蔵が電気屋のテレビを見て叫んだ。
「あっ!ガッツ仮面だ!!」
「うごいてるズラー!」
「はじめてみました!すごいです!!」
小妖達はテレビに釘付けになってしまった。
「皆、ガッツ仮面好きなんだね。」
解放された名無しがこちらに来て話に混ざった。
「これはここから動いてくれそうにないわねぇ〜。」
「テレビなど吾輩の屋敷には無いからな。珍しいのだろう。」
「なら親方様〜。私がここで見ていますから、名無しとお二人でお買い物なさってきたらいかがでしょうか〜?」
「なっ!」
(変な気を回しおって!)
「そんな!えんらえんら1人に任せるなんて大変じゃない?私も残ってるよ。」
(あらあら〜親方様ったら淋しそうな顔しちゃって〜うふふ。)
「私なら大丈夫よ〜。この子達とってもお利口さんだもの〜。それに今まで名無しにこの子達任せっきりだったんだもの〜。」
「でも……」
「せっかく来たのだから名無しもお買い物してらっしゃいな〜♪」
「なら、お言葉に甘えてお買い物してこようかなっ!」
「ならば行くとするか。」
「見終わったら後を追いかけますから〜またあとで〜。」
場を離れる2人に手を振るえんらえんら。土蜘蛛と目が合った際にウインクをして見せた。
(親方様頑張って〜*)