ひだまりの日々[完結]
□十八刻
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元祖屋敷に辿り着いた二人。
(お屋敷が見えてきちゃった。この手を放したらもう本当に気持ちの整理つけなくちゃね。)
(もうすぐ屋敷だ。これでもう名無しに触れる事は二度と無いのだろうな。)
「やっと着いたね!」
そう言って放される指先。
土蜘蛛は少し躊躇い指を引っ掛けたが、呆気なく手と手は離れていった。
「……そうだな……。
えんらえんらとオロチもお主を待っているぞ。」
「うん!」
ただいまと言って屋敷の戸を開ける名無し。いつもの笑顔だ。
えんらえんらとオロチに迎えられ、奥の部屋へと通されていった。
土蜘蛛は暫く玄関先から動けず、深く息を吸った。
(吾輩も断ち切らねばな……。)