かえるのお姫様
□1day
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「おこんにちわ〜。ガマちゃんいるかしら〜?」
久しく聞かない声だったがその口調で直ぐに解る。
暇をもて余していた大ガマはばっと跳ね起き、玄関へダッシュした。
「女郎蜘蛛!久しいな!!」
「あらぁ走って出迎えてくれるなんて、そんなに私に会いたかったのかしらぁ?」
「まぁな!暇してたんだよ!」
「可愛い事言ってくれるわね。今日はそんなガマちゃんにお土産を持ってきたのよ〜。」
にこにことして持参した小花柄の風呂敷を少し高くあげて大ガマに見せた。
「なんの土産だ?!とにかく上がってくれよ!」
部屋へ案内をし、女郎蜘蛛が風呂敷の結び目を解くのをわくわくとして見る目は少年の様。
「これよ。」
「なんだよこれ!洒落てんな!」
「これはねぇ、未来の桜町で人間達が着てるお洋服よ。」
大ガマに見せたのはTシャツとだぼだぼのサルエルパンツとスニーカー。
「すげー!全然着物と違う!」
「そうでしょ?あげるから着てみなさいよ!」
「いいのか?!」
「そのつもりで持ってきたんだもの。
うちの親戚に持って行ったところで、日出る國のおのこは袴だ!って言うしね。まぁそれがあの人の味なんだけどね。」
「土蜘蛛ならいいそうだな。そう言うことなら有り難く頂戴するぜ!」
そう言って隣の部屋へ行き、着替えを済ませた大ガマ。
「動きやすいな!どうだ?これで着方あってんのか?」
「あらー似合ってるわよ!バッチリ!」
拍手をして喜ぶ女郎蜘蛛。
「やっぱりあなたに持ってきて正解だったわ〜。」
「でもなんで女郎蜘蛛がこんなの持ってんだよ?」
「うーん。話すと長くなるんだけどね。少し前からやもちゃんがお洋服のお店を始めたのよ。そのお店に寄って来たお土産よ。」
「はぁ?!引き籠りのアイツが?!」
「そうよ。偉いでしょ?」
「信じらんねぇ。なんでだよ?!」
「まぁ、訳は本人にでも聞いてみたらどうかしら?今着てるお洋服が他にもたっくさんあるわよー!」
「この服がもっとあんのか!そりゃ行ってみてぇな!アイツはどーでもいーけどなぁ!」
「そう?なら私がお店までの地図描いてあげるわ!いってらっしゃいよ。
うんがい三面鏡の居場所は解るわよね。」
そう言ってさらさらと地図を描き大ガマへ渡した。
「サンキュー!
最近は暇だったからよ!早速明日にでも出向いてみるぜ!」
「そう!やもちゃん驚くわね〜。
あっ、未来の桜町の桜中央シティには人が沢山いるからちゃんと人間に変化して行くのよ!」
「わかってるって!」
翌日、大ガマは女郎蜘蛛から貰った洋服一式を着て桜中央シティに出向くのだった。