かえるのお姫様

□4days
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店にいる事となった大ガマに早速仕事を宛がう大やもり。

「僕は出荷分の商品整理があるから大ガマは店番でもしておいて。裏に居るから。誰か来たら呼んで。」

「了解!」

「まぁ、誰も来ないと思うけどね。」

そう言ってひとり店に残された。
しんとした店内をぐるりと見て歩き、洋服を物色し鏡を見て、あてがったりして始めは意気揚々としていたが時が経つにつれ暇をもてあましてきた。

ふとレジ横に立つとカウンターの影に椅子が一脚立て掛けられているのを見つけた。

(そういえば大やもりのやつ、此処から名無が見えるとか言ってたっけな。)

椅子に座り正面を見やると、店の入口から通りを挟んで向かいの店の店内が見えた。

その中心に先程まで一緒に昼を過ごした名無がいる。
今は商品の入れ換えをしているようで忙しそうに動いていた。

一緒に店に居る店長はベビーカーを押した派手な母親の接客中。アクセサリーの試着に夢中な二人。
子供がぐずりそうになり名無は気付き慌てて駆け寄り何やら笑いながら話しかけていた。
母親はすみませんと名無に声を掛けたが、店長は冷たい視線だった。

それを感じたのかまた商品の入れ換えに急いで戻る名無。

また暫くすると白髪の老婆が店先に立ち止まった。
店長は見て見ぬふり、さっきから接客している母親に他の商品を次から次へと勧めていた。
奥にいた名無だったが、ちらちらと見える老婆にようやく気付き話しかけ何やら話を聞いていた。

身振りから頭に被る何かを探していたように見えたが詳細までは聞こえなかった。
名無は探していた物が解ったようで店内に案内をしたが、店長からは鋭い視線を送られていた。

老婆を鏡の前へ誘導し、名無は商品を一つ持ってきて手渡し、試着をするように話をすすめている。
探し物はヘアネットだった様子で、その後それを購入し笑顔で頭を下げ店を出た。
名無もまたねと言って深く頭を下げありがとうございましたと挨拶をし、店内に戻った。

再び商品の入れ換えを開始した名無だったが、店長に呼び止められ何かを言われている。
名無は頭を下げ謝っていた。

(……何も怒る事なんてなかったじゃねぇか。)

そう少し憤りを感じつつも名無の観察を続けた。

夕方も過ぎ、一足先に店長が上がる様だった。
店先から店長を見送り、お疲れ様でしたと声をかけ後ろ姿を眺める。
ようやく客も引き、店に1人になった名無に大ガマは声をかけた。
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