かえるのお姫様
□8days
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「どうしよう……」
だらりと手からたれるちぎれた袖を見て呟く大やもり。
「お前が引っ張るからだろ!」
「大ガマが名無ちゃんの上着で変な事するからでしょ!」
「あのくらいいいだろ?!」
「だめだよ!
あーもう。これ直せるかな……」
「俺は縫えねぇぜ!針仕事とかやった事ねぇ。」
「僕もだ。とりあえず洗濯ネットに入れて洗濯だけでもしといた方がいいかな……その後に女郎蜘蛛に頼んだらどうにかなるかもしれない。」
「明日は名無が休みだって言ってたから1日でどうにかしようぜ。」
「そうだね。」
喧嘩は一時休戦。
同じ目的のために二人で知恵を出し合うことにするのだった。
翌日、早速コインランドリーに向かった大ガマ。
その帰りを待つ大やもり。
まだかまだかと店の入口を見ていると大ガマが飛び込んできた。
「やべぇ事になった……」
息を切らした蒼白の大ガマは洗濯を終えた上着をカウンターに広げた。
「これ……」
「こんな小さくなっちまった……」
「はぁ〜。最悪だ。
焦って洗濯表記見なかった……」
乾燥をかけた上着は見事に縮み、切れた袖の淵もボロボロに。
それを見た大やもりはため息をついて頭を抱えた。
「もうこれは女郎蜘蛛に頼んだところでどうにもならないね。」
「だよなぁ。」
「明日、名無ちゃんに謝ろう。」
「それっきゃねぇよなぁ。」
「うん。」
二人してかたを落とし、店内はどよんとした気が立ち込めて一層入りづらくなる店。
「本当、大ガマと一緒にいるとろくな目に合わないよ……」
「悪りぃ……今、喧嘩する気分じゃねぇや。」
店内に二人分のため息がこだまするのだった。