かえるのお姫様

□16days
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翌日。

「大ガマ。もう起きないと開店に間に合わない時間だよ。」

「おーう。」

最近は名無が来ないのをいい事に遅刻ばかりの大ガマは遅く起きる事が癖になってしまっていた。

欠伸をして朝の支度を開始しようとした時に名無が出勤してきた姿が見えた。

通りを歩く名無はいつもの服装に戻っていた。
それになんとなく安心感を覚え見守っていると自分の店ではなくこちらへ歩みを進め、一階の店舗へ訪ねる様に見え、大ガマの支度の速度は上がった。

一階へ続く階段を下るともう大やもりと何やら話をしていて大ガマは足を止めるのだった。

「やもりさーん。おはようございます。」

「名無ちゃん!
おはよう。久しぶりだね。風邪だったんだって?もう大丈夫なの?」

「はい。もう大丈夫です。
熱も二日前には完全に下がっていたので。ご心配おかけしました。お見舞いもありがとうございました。
開店前にごめんなさい。やもりさんの姿が見えたのでつい寄っちゃって。」

「気にしないで。名無ちゃんの元気そうな顔見られて良かったよ。」

「やもりさん……それと……」

「なに?」

「もう聞いちゃったかもしれませんが……私、フラれちゃいました。
駅まで送ってくれた時、一緒に喜んで応援してくれたのにすみません。」

「そんな……名無ちゃんが謝る事じゃないよ。」

「やもりさん……」

そう言うと名無は両手で顔を覆って泣き出した。

「ごめん。名無ちゃん。
ちょっとだけこうさせて。」

大やもりは泣く名無にそっと包む様に手を回した。

「名無ちゃんは暖かいね……あの人も勿体ないことしたな。
こんなにいい子、他にはいないよ。
馬鹿なやつだね。」

そう言って頭を撫でるのだった。

ひとしきり泣いた名無をソファーに座らせ、大やもりは冷えたタオルを持ってきて目元を冷やしてやるのだった。

その後、開店時間に間に合わないと言って名無は大やもりに急に寄った事の謝りと礼を言い、自分の店へ出勤していった。

その時の名無はもういつもと変わらない様子だった。
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