ひだまりの日々[完結]

□三刻
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そうこうしている内に着いた平釜平原。
合戦の時に陣を張っていた元祖本陣跡地に到着した。
周りを見渡すが、名無しの姿はない。
いつも通りのだだっ広い野原にぽつぽつと結界石が佇むだけ。

 (名無しは本当にここに居るのだろうか……。)

平原を見渡せる石の上に腰をおろすが、妖怪ひとりとして現れない。
暫く経ちしびれを切らし、歩き出す。
木陰伝いに本家本陣跡地まで来てしまった。

 (合戦時ですらこんな所まで足を運ばなかった……名無しはどこだ!?)

もう帰ってしまったのかとも思ったが、自分も屋敷へ帰ろうとは浮かばず諦め切れずにいた。
平原に着いてから暫く経ったが何も起こらない。
もう、久しぶりに外へ出て気分転換をしたと思えば良いと言い聞かせながらも名無しが居ないのなら、ここへ来たという何かが残されていないかと目を配っていることを自覚した時は、大将ともあろうものが女々しいなと苦笑いした。

平釜平原の外れの小川、ここへ皆と水遊びをしに行くと屋敷から飛び出していく様な声がよく聞こえたことをふと思い出した。
少しの期待をしつつ上流へ。
本家の守り鏡が見え、平原から岩場に変わってきてしまった。
傾斜の先に鏡があるがさすがにあの上へはいないだろう……それに本家の守り鏡の前にいるということがどうしたことか、少しもやっとしたのだった。
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