かえるのお姫様
□3days
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「おかえり。用も済んだしもう帰るんだよね。」
「いや、お前の店でちょっと待ってろってさ。」
「え?!なんでそんな話になったの。」
「おまえ、やもりさーんなんて呼ばれてんのな。」
「うん、そうだよ。
ちょうど人間の名字みたいだからそのままだよ。大ガマもそのままでいけそうだよね。
ちょっと珍しい位の名字みたいだし。」
「俺が言ってんのはそういうことじゃねぇよ!
お前は名無ちゃんって呼んでるし、随分仲良さそうだな。」
「あぁ、ここにお店開いた時に挨拶しに行ったんだよ。
お向かいさんだからね。
最初は店長さんに挨拶したんだけど、すぐにお店に引っ込んじゃって代わりに名無ちゃんが色々教えてくれたんだ。
何かあったら何でも言ってくださいって言ってくれて。」
「ふーん。あいつらしいな。
困ってる奴は放っておけない性分ってやつか。」
「本当にいい子だよね。
僕が知り合いいないの知って、休み時間にたまにお菓子もって来てくれて話し相手になってくれたんだ。」
「へぇー。」
「レジの横のこの席に座ってると丁度名無ちゃんが見えるんだ。
気づいて手を振ってくれたりしてさ。」
「覗きじゃねーか!だから名無が怒られた事も知ってたんだな!」
「いいだろ。名無ちゃんだって嫌そうにしてないし。」
いつもに無くほわんとした大やもりの雰囲気を大ガマは見逃さなかった。
「お前、名無がいるから帰るの渋ってここに居続けてんのか?」
「……ノーコメントで。」
「あぁ、そうかよ!!」
そんな話をしていると、店先に名無が姿を現したのだった。