かえるのお姫様

□6days
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二階からの階段をタンタンタンと降りていくと大やもりが開店の準備をしていた。

「意外と早かったね。開店ギリギリか起きて来ないかと思ったよ。」

「お前が来いって言ったんだろ?」

そう言うと大ガマはまだ開かれていない自分のいる店のガラス戸から向いの店を覗いた。
シャッターは空いているものの、こちらと同じくガラス戸は閉まったままだった。

すると、先程通りで見た時とは違い女性らしいふわりとした服にばっちりメイクをし、ロングの髪を靡かせながら名無は店内で今日の衣装用のアクセサリーを物色していた。

(名無なんだよなぁ……よく見ねぇとわからねぇよなホント。
けど、笑った顔見たらもう一発でわかるぜ!)

そう思いながらにこやかにアクセサリーを着けている名無を盗み見た。

長い髪を纏め、自分で魔法をかけていく様に大ガマは目を離せずにいた。

「ちょっと大ガマ。ぼーっとしてないで……って、また名無ちゃん覗いて見てるの?
あんまりあからさまだとストーカーだと思われちゃうよ。」

「誰がだよ!」

「大ガマがだよ。
うちの店に苦情来ちゃったらどうするの?もう、いいからこっち来て。」

引っ張られる大ガマはレジカウンターに座らされた。

「接客は別にしなくていいから、誰か来ちゃった時の為にレジ打ちくらいは覚えてて。はいこれ、お金の一覧表。」

「へーいへい。」

そう言ってレジ打ちの練習を開始した。機械には強い大ガマは問題なくレジを使え、対応を覚えた。

「それじゃ、僕はほぼ裏方専用になるから誰か来たらよろしく。
あっ、カードはって聞いてくるかもしれないけど使えないから。全部現金でね。」

「了解!」

「それじゃ、お店開けるよ。」

「あっ!俺が入口開けっから!」

そう言って駆け寄った大ガマは大やもりと共に勢い良く店の扉を開けた。

すると向かいの店のガラス戸も開いた。

「朝から元気がいいですね。
やもりさん、おおがまさんおはようございます。」

大ガマが勢い良く扉を開けた為に大やもりも一緒に店から飛び出す様を見て名無はふふっと笑って挨拶をした。

「名無ちゃんおはよう。
大ガマ少し落ち着いてよ。転んじゃうところだったじゃないか。」

「おはよう名無!わりぃわりぃ!」

そう言って飄々と笑った。
笑う名無は日に照らされ髪についているアクセサリーがキラキラとし、その煌めきの中に昨日つけられついたヘアピンを見つけ気分が上がるのだった。

「今日も名無はキラキラしてるな!」

「ありがとうございます。どこも変じゃないですか?」

そう言って頭の飾りを触った。

「うん。可愛いよ。」

「完璧に姫だぜ!」

そう言って照れた顔が見たくてからかい笑う大ガマ。

「そうであろう?苦しゅうない。
……なんちゃって。」

「なんだぁそのキャラは!」

意外な返事が帰って来たので大笑いした。

「姫ですよ!……ちょっと和風だったかな?」

うーんと考える名無を見て大やもりも静かに笑った。

「ここでは否定しないのな!」

「はい。ここでは姫してますよ。
お客様にアクセサリー買っていってもらわないといけませんからね。」

「そっか!今日も麗しいぜ!姫!」

「あっあんまりからかわないでないで下さいよ〜。頑張ったけどやっぱり大ガマさんには敵わないなぁ。」

そう言って照れる名無をやっと見られた大ガマは満足した。

「名無ちゃん。今日から僕、ほとんど裏で作業するから店には大ガマしかいないけど何かあったら声かけてね。」

「え……やもりさんお店に出ないんですか。」

「うん。たまには居ることもあるかもしれないけどね。」

「そうなんですね……。」

「でも、休憩時間に暇があったらまたいつもみたいに来てね。」

寂しがる名無に大ガマは面白くない。

「俺がいるから平気だって!」

「僕はちょっと不安なんだけどね……」

「なっだって!?」

そう言い合いが始まり笑う名無。

「それじゃあまた寄らせてください。今日も1日頑張りましょうね。」

そう言って名無は店の中へ。
大ガマと大やもりも店に戻るのだった。
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