さよならの歌は歌わない

□第3話
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『ねえねえ、これは?』


「えーやだー」


「全部嫌じゃないか、見せられる写真ないの?」







事務所の寮のロビーにて。
同期兼親友の三人がテーブルを囲んで楽しげに会話に花を咲かせていた。








「あれ?先輩達何してるの?」








そこへ音也、真斗、翔、セシル、春歌の後輩組がやってくる。








「森口先輩、九条峰…いや、久世さん、ご無沙汰しております」


「お邪魔してます」


「何をしているのですか?」







セシルが興味本位で三人が話題にしていたものを覗きこむ。
それは数冊のアルバムだった。







「何々?アルバム?」


「ちょっと、あんまり見ないでね」


『今度バラエティで華恋が子供時代の写真見せることになったんだけど、どれを出すか決めかねるから私達できめてほしいって言うの』


「うわあ、華恋先輩可愛い!」


「だから見んなって!!もうおしまい!回収回収!」







恥ずかしさで慌ててアルバムを閉じる華恋だったが、後輩達は止まりません。







「これ、早乙女学園の時の?」


『そうだね』


「見たい見たい!」


「俺も!」


「コラ!」







制止の声も聞かずバラバラとページをめくる後輩組。
アルバムには今の自分達と同年代であろう美音達の写真が貼ってあった。







「うわ、みんな制服着てるー」


『当たり前でしょ、学生だったんだから』


「やっぱ先生達若ぇな」


「来栖、今の発言はどうかと思うぞ。先生方は今でも十分お若い」


「ああ、すいません」


「いーよ、別に」


『君らに比べたらねー。十分おばさんになったよね』


「あの先生、この人…」







するとみんなに混じってアルバムを見ていた春歌が、写真に写る男子生徒に指をさした。







『類だよ』


「やっぱり」


『それは…最初の頃の写真だね』







ボサボサの髪の毛と分厚い黒ぶち眼鏡だが、シルバーの髪と深い紫色の瞳がとても綺麗な男の子が三人とともに写っていた。






「こんなセンスの欠片もない人が先生とオーディションで優勝したなんてな」


『人は磨けば輝けるのだよ、来栖君』








ハハハ、と笑った後、ハアッとため息をついてボソッと呟く美音。








『ほんっと…あの頃は楽しかった』








それに同調するように目を細める華恋と功太。
後輩達は自分達が入り込めない何かがあるのだと感じ取った。








「…どんな学園生活だったの?」


『…楽しいこともあったし、辛いことも多かったな』







音也に問われ、美音はポツリポツリと話しだした。





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