指先から愛を捧げよう
□第1話
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『ねえ林檎ちゃん、やっぱり降りちゃダメ?』
「ダーメ、しばらく待機よ」
『はあ…』
無事早乙女学園を卒業した新人作曲家、春歌と新人アイドルグループST☆RISHは事務所の社長であるシャイニング早乙女から自分たちの『助言者』となる先輩アイドルグループQUARTET NIGHTのパフォーマンスを見せられる。
早乙女が嵐の如くその場を立ち去った後、別の声が広間に響き渡った。
「ハーイ!みんなお待たせ〜おはやっぷー!」
突如派手なゴンドラに乗って現れたのは彼等の学園時代の先生である月宮林檎、日向龍也、そして自分達のプロデューサーである楠本美音。
「りんちゃん!?衣装がキラキラ!」
「あれで男だとは…ある意味勿体ないな」
「つーか日向先生までキッラキラ…」
「美音は…普通の服だね」
「あの人らしいな」
龍也が指を鳴らすとゴンドラは一番下まで降りて動きを止めた。
それに合わせて林檎と龍也、美音もゴンドラを下りる。
「お前らはもう生徒じゃなく、芸能界を生き抜いていくプロだ」
「これからは自ら学び、自分を磨いてね」
「しかし分からないことや不安も多いだろう」
「そこで、あなたたちを手助けするためにこの子達が担当につくの」
そう言って林檎はQUARTET NIGHTと彼等と慣れた様子で会話をしている美音を示す。
「オトくんとトキヤちゃんには寿嶺二くん」
「神宮寺と聖川には黒崎蘭丸」
「翔ちゃんとなっちゃんには美風藍ちゃん」
それぞれに担当先輩を紹介され、残るは春歌ただ一人…
『春歌には、私が直接ついてあげる。わからないことがあったらなんでも聞いてね』
「は…はい!よろしくお願いします、楠本先生」
「え、じゃあ美音もここに住むの?」
『うん』
「それは光栄だね、レディ。レディとの生活が楽しみだ」
『言っておくけど、君が期待してるようなイベントは起きないし、起こさないから』
「………」
『女子寮に来るのはかまわないけど、ちゃーんと規則は守ってね』
ニッコリと笑っているのに、笑顔が怖い美音にST☆RISHは震え上がったのは言うまでもない。
「さあ!誰もが認めるプロを目指して、頑張ってね‼」