10000打感謝企画

□夜明けをキミと
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「ほら、お祈りしてみたら?」

「うん」


それよりも、となまえを促す。

彼女が賽銭箱にそうっと小銭を投げれば、静寂を破って金属が擦れる音が周囲に響く。

それからなまえは二回礼をして、パンパンと二度柏手を打つ。目を瞑り祈る。

すると、


「――えっ!?」


真っ暗で静まり返っていた社殿の扉から、眩い光が漏れてきた。

幾つもの光の筋になまえは呆気に取られ、思わず大きな声をあげていた。


「な、何!?」


彼女は数歩後ずさる。これでもかというくらいに目を見開いて。

俺はただそれを傍観していた。

俺だって“これ”が何なのか知らなかったら、同様の行動を取ってたはずだ。

そして、木製の扉がゆっくりと開かれる。

境内は黄金の光で満ちていく。


「ウソ……神様、なの……!?」


ぽろっとなまえの口から零れ落ちた言葉の通り、社殿の中には“何か”がいた。

後光が差して、5体のシルエットが現れる。

座禅を組んで宙に浮いている。


「汝は何が望みなのだ。言うてみよ」


そのうちの一人が、重々しく口を開く。


やがて溢れんばかりの神光は弱くなり俺たちの目も慣れてくると、ハッキリとシルエットの正体が露わになった。

逆立った金髪に、紫色の肌。

何だっけ、天女が身につけてるあのふわふわした布。羽衣っつーの?
それを裸の上半身に纏ってる。
下半身も何も履いてなくて、腰に鎖巻きつけて大事なトコは『封』って描かれた布切れで隠されてる。

手に持ってんのは……まあこれはいいや。


目の前にいるのはそう、ゴッドだ。

紛れもない、ゴッド。

ただし童貞ゴッド。


「え、あの……一松、くん……?」


そして簡単にその正体は、なまえに見破られる。


「………………」

「………………」


しばらく童貞ゴッドとなまえは見つめ合う。


「はて、一松とは……?我は“窮地を脱糞で切り抜ける神”ナリ。ソナタの言うヤツとは違うナリよ」


いや、いちまつうううぅぅ!!!
すっごい神様になり切ろうとしてくれてんのはわかるよ!?
でもおかしいから!!
口調ぶれぶれだし、どっかのコロッケ大好きなちょんまげロボットみたいになってるからね!?


「HAHA!カラ松ガアァァァルズ!!今宵は俺の記念すべきJINJAでのリサイタルへようこそ!ホットでエキサイティングな夜にしようぜ!!」


二人目が、叫ぶ。

青い肌の童貞ゴッド。

っていうかもうただのカラ松だよ!!
何なのお前!!
サングラスにギターとか完全にお前だろーが!!
なりきる気ゼロだろ!!
肋5本くらいいかれたわ!!


「ってかどーいうことだよおそ松兄さん!!パチンコ仲間のおっさんがリストラくらって妻子に出てかれて元気づけたいから協力してくれって言ったくせに、なまえちゃんじゃん!!あーもうこんな姿見られるとか最悪すぎてケツ毛燃えるわ!!」


緑の肌の、ゴッド。

ごめんねチョロ松あんがとー。
まさかお前が見知らぬおっさんのために一肌脱いでくれると思わなかったー。
そっちの方がお兄ちゃんびっくりー。


「あっはは!!これどーなってんの!?すっげー浮いてる!!元気ですかー!?マッスルマッスル!!ハッスルハッスルー!!」


黄色い肌。
うん、安定の十四松。
でもそこ一応神様が住む場所だから、素振りはやめようね。


「ちょっとちょっとぉ〜みんな集まって!!記念写真撮るよ〜!!はい、せーの!」


カシャッ。
スマホのシャッター音が響く。

ノリノリで楽しそうに自撮りしてるのは、ピンク色の肌の、あざといゴッドだ。

あー本来の目的そっちのけね。
わかってたよこのドライモンスター。


しかしまあ、こうやって童貞ゴッドが5人揃うと圧巻だな。



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