main(長編)

□5.重なる鼓動
3ページ/4ページ

その頃、見張り台の下には馬に乗ったオビが到着し、兵士と共に上の様子を見るため湖側に移動していた。


「あれ?なんか声聞こえません?」


「本当だ。」


オビと兵士が湖側から見張り台の方を見上げるのと、まさに白雪が湖に向かって飛び込むのはほぼ同時だった。


ザバァァァン‼


大きな波音を立てて白雪が湖に飛び込み、水面にぷはっと顔を出す。




「お嬢さん!何をしてんの!鈴は⁉」


「色々あって、湖に落ちたの!」





やっかいな事に巻き込まれたな、とオビは察知し、もう1人の姿を探す。湖には、………居ない。
ふと見張り台を見上げると、1つに結われた金色の髪が陽に照らされ桃色にキラキラと反射している事に気付く。その人物は、先ほどの白雪同様窓に身を乗り出した。かと思うと、




「白雪ーーー‼‼」



バッ………!!!!



その人物、名無しさんも湖に、もとい白雪に向かって飛び込んだ。
その瞬間、湖の側にいるオビと目が会う。








「っオビ!」



「…ッ名無しさん‼‼」







ザバァァァン‼




名無しさんは飛び込んだ衝撃のため水中で岩に足を打つけたが、グッと痛みを抑えて白雪のすぐ近くに浮上した。オビが居た方を見ると今まで見た事の無い真剣な表情でこちらに向かってザブザブと近づいてくる。



「オビ!」


名無しさんがパッとオビの方を見ると、近くで顔を見て安心したのかオビはハァァと大きなため息をついたかと思うと頭をガクンと項垂れた。


「本当に無茶するんだから勘弁してよー!心臓止まったわ!」


「う、ご、ごめんなさい。」


「とりあえず今は鈴を探しますか。色々と言いたい事は後回しだ。」





ザブン!と音を立ててオビが水中に潜り、名無しさんと白雪も顔を見合わせ頷くとオビに続いて鈴の捜索を再開した。












その後、無事に鈴をポポが発見し文書がゼンの元に届き考試は無事に導入という形で終了した。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ