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□4.胡桃石の少女
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「…という訳で、本日よりゼン殿下の専属治療士も兼任します名無しさんです。よろしくお願いします。」



ペコリ。とお辞儀をすると、ミツヒデ、木々も頭を下げた。オビはというとポカンとした面持ちで名無しさんを見つめ、その隣にいる白雪は目を輝かせていた。



「え、主…。名無しさん嬢って兄殿下の専属治療士じゃなかったんですか?」


オビが状況を掴めないといった表情でゼンの方を向くと、ゼンは座っていた椅子から立ち上がる。


「そうだが…、兄上もきっと何か考えがあるんだろう。名無しさん殿、分からない事があればミツヒデに聞いてくれ。あー・・・オビの方が面識あるんだったか。」



ゼンがオビに視線を返すと、オビは頭を掻きながら名無しさんと目を合わせる。



「名無しさん嬢が俺でよければ。まぁまだ主について日が浅いからそんな詳しくはないんだけどね。」




俺もそんなに変わらないよと、ニカッと笑うオビを見て名無しさんは緊張の糸が解けホッとしたように微笑んだ。



「ううん、ありがとうオビ。」



「じゃあ決まりだな。オビで分からんかったらミツヒデと木々に聞いてくれたら良い。」




ゼンはそのやり取りに納得した様子で頷き、頼んだぞ。と付け加えた。




「俺はこれから客人と会う約束があるからな、ミツヒデと木々と行ってくる。あとオビお前もだ逃げるなよ。午後には戻ると思ってくれ。白雪も、薬室の業務に戻って良いぞ。」



「…っ!あ、うん分かった。あぁっ!こんな時間だ。」



キラキラとした視線で名無しさんを見つめていた白雪も、ゼンの言葉で我に帰ったのかハッと時計に目をやり悲鳴を上げた。





「ではゼン殿下、私は控えの間か治療室で待機していますのでまたお呼びください。」




名無しさんが答えるとゼンは分かった頷く。
白雪を途中まで送ると言いミツヒデと木々、そして、また堅苦しい所に行くんですか?と怪訝な表情のオビと共に部屋を後にした。
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