いろいろ(拍手ssなど)

□バレンタインSS
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2月14日


男性陣が浮足立ってどことなくソワソワしている今日のこの日、甘い雰囲気が満ちる城内で私は彼を探していた。

いつもなら東側にある庭園の木の上で昼寝をしているはずなのに、今日に限ってなぜかそこに居ない。なぜ。
ただのメイドの私が彼に想いを寄せて早3ヵ月、想いを伝えるにはこの日しかないと思っての一大決心だったのに。

項垂れる私の手元には綺麗にリボンが結われた小さな箱が一つ。彼に会えないなら意味がない。と、思ったその時、



タンッ



「へっ…!?」


「メイドのお嬢さん、さっきからずっと誰を探しているんだい?」


頭上の塀から音もなく地面に着地したのは、私が探していた彼そのもので…


「っ…えっと…。って、あれ?」


状況整理しようとする頭がふと気付く。いま、さっきからって…言った?

徐々に近づいてくる彼はなぜかニヤニヤしていて、私の持っている箱から視線を外そうとしない。





「俺、いま甘い物が欲しいんだけど。持ってたりしないかい?」


そう行った彼は確信犯の顔をしていた。









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