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□2.第2王子の従者
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「はい、これで終わり。」



「主には洗っとけって言われただけだから、別に良かったのに。」


「ダメですよ、小さな傷でも感染すると怖いですから。」

よいしょ、と消毒箱のふたを閉めると名無しさんは満足したように頷いた。オビの頬には小さな絆創膏が貼られている。



「いやーありがとう名無しさん嬢。」



「いえ、これくらいで済んで良かったです。」



名無しさんはニコリとほほ笑みながらイザナがした割には、と心の中で呟いた。



「それじゃボチボチ主の元に戻るよ。」


オビはそう言うとすくっと立ち上がっり、パタパタとズボンについた芝を払う。名無しさんもイザナの部屋から飛び出してきたままなので治療室の仕事をほったらかしたままだった。


「あ、私もそろそろ帰らないと……って、きゃっ……!」

「……………っ!!!」


立ち上がろうとした時、長く座っていたせいか名無しさんはバランスを崩して大きく前に倒れこむ。
地面に激突する衝撃に備え反射的に目をぎゅっと閉じるが、次の瞬間暖かい何かにポスっと包み込まれた。








「…………。」



何が起きたのか名無しさんが驚いて目を開けると、オビに受け止められる形でいる自分に気付く。



「あー…咄嗟に……ごめんよ名無しさん嬢。大丈夫かい?」



「………………!!!!」




オビに受け止められている事に気付くと、名無しさんは一気に恥ずかしさで顔を赤らめ硬直する。



「体が勝手に動くもんでね。怪我してないかい?」


「あ………ありがとう。大丈夫。」


なんとか言葉を発した名無しさんに、そうかい?と笑いかけると、オビはフワリと名無しさんの体を持ち上げ立たせた。



「治療室まで送ろうか?」


「!!大丈夫。じゃ、じゃあ。オビも気を付けて!」


名無しさんはペコっとお辞儀をすると消毒箱を抱えて来た道を駆け足で戻っていった。
残されたオビも、名無しさんが走り去るのをポカンと見ながら腕に残る熱に気付かないフリをした。
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