天は二物を与える

□第2話
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「はいはいお疲れさん〜。
おら、チンタラしてねぇでとっとと席着かねぇか」


二時間に及ぶ式を終えたあと、それぞれが自分のクラスへ戻った。


相変わらずこの教師は、こんな感じだが。
労う気もないなら最初からそんなルーチンワークしなきゃいいのに。
いや、ルーチンだから言うのか。
だったら中途半端にしないで最後まで教師らしくすればいいのに。

なんかさっきから愚痴ばっかりだなと思いながら席に着き、窓の外を眺める。

今日は快晴か…


「よーし、全員座ったな。
んじゃ待たせたな、お楽しみの自己紹介タイムだ。
窓の外ばっか眺めてるやつ、しっかり俺の目を見て話を聞けよ〜」


『(………ん?あたしのことか!!)』


仕方なく顔を前に向け教師を見据えると、満足そうな顔をし口を開いた。


「俺の名前は東城清雅(とうじょうきよまさ)。
担当教科は外国語、いくつか話せるが主に英語だな。
年齢は秘密、身長は185cm、体重は78kg。
好きな物は酒、煙草、女。
好きなタイプはボンキュボンだな。
趣味は可愛い子を虐めること。
後はなんだ?まぁこんなもんか。
おいお前ら、惚れるなよ?」


『(な、なんという自己紹介……てかその名前で担当教科外国語!?普通日本史でしょ!
と言うか、後半のほう教師としてどうなんだ…?
しかも最後にウィンクまでしやがったこの変態教師…)』


自分を見ていたのはきっと気のせいだろう、自意識過剰か自分は。

溜め息をついていると周りの女子生徒はきゃーきゃーと騒ぎ始める。

…まぁ、確かに、黙っていれば悪い男ではない。
綺麗な顔してるし、あの黒縁眼鏡は絶対伊達だけど。

一体何を狙ってるんだか…

女子という生き物は黒縁眼鏡に弱い…子が多いらしいが。
なんと言っても眼鏡を外す仕草や外した瞬間が堪らないらしい。

とそんな事を考えていると歓声が更に騒がしくなる。

見てみれば…


『(確信犯だ……!あの人確信犯だ!そしてやっぱり伊達だ!
…てか、本当にやる人いたんだ…)』


効果音をつけるならキラキラといった所か、そんな音がしそうな感じで、眼鏡を外す変態教師がいた。


「質問あるやつ、聞くぞー」


東城センセー(片言でも一応先生を付けないと失礼)が言えばクラスの女子殆どが手を挙げる始末。


「あのっ、先生は彼女さんとかいるんですか?」


「はっはっはっは、面白いこというなぁ。
心配するな、俺は皆の物さ」


「「「「きゃーーー!!!」」」」


…あぁ、頭が痛い…
もう突っ込むのも疲れてしまった。


「まぁ他にも質問したいことはあると思うが、後で個人的に……な?
これだけいると俺の自己紹介だけで終わっちまうからな。
よーし、それじゃ今度は一人一人自己紹介してもらうぞー。
んじゃまぁ、恋空からな。」


『はっ…?普通一番前からじゃないんですか?てか気安く名前で呼ばないでください』


「なんだ照れてんのか?可愛いなぁお前は。
そんなルーチン俺が破るさ!気分で自己紹介は一番最後からだ!」


…なんという暴君…!!
こんな暴君みたいなやつもう一人いたな…

と、そこまで思ったところで思考を停止した。
あいつの事を考えるのはやめよう。
仕方なく席を立ち教卓の前に立つ。





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