天は二物を与える
□第4話
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既に授業が始まっているにも関わらず、 恋空は先程の出来事で頭が一杯になり、集中できずに頭を抱えていた。
『(最悪……タイミング悪すぎ…
結局何も言わずに出てきちゃったし…大輝、怒ってるかな…)』
いや、そもそももっと前から怒っているはずだ。
まだ帝光中に通っていた頃、ある事をきっかけに青峰に対し一方的にキレて、それっきり。
はぁと何度目かも解らない溜め息を付き項垂れる。
その物凄く暗い雰囲気に教師も何も言えず、スルーして講義は進んでいく。
『(ほんとやだ…こんな自分…)』
暫く自己嫌悪に陥っていると、気付けば昼休みになっていて、自分を呼ぶ親友の声で恋空は我に返った。
「恋空〜!一緒にご飯食べよっ!」
さつきが笑顔で昼食を持ちかながら席までやってくる。
頷いてお弁当を手に持ち、さつきとともに中庭に向かった。
「午前中会わなかっただけなのにもう暫く会ってない気分だよ〜」
ニコニコしながらお昼に手をつけるさつきを眺めながら、先ほどあった事を話す。
『さつき…さっきね、大輝に会った』
「え?」
さつきは食べる手を止め恋空を見る。
『職員室でね…まぁ色々あったんだけど、また、逃げちゃったんだ、あたし』
大輝が悪いわけじゃないのに、傷つけてるよね
そう言い俯く恋空に、さつきは何と言っていいのか解らなかった。
『次に大輝と会った時には、もう話しかけてもくれないと思ってた…
それなのに…さっきの大輝はそれどころか、心配したような顔であたしを見てたんだよ…?
こんなあたし…嫌いになってくれればいいのに…
そしたら、大輝を傷つけることも、大輝が傷つくこともないのに…!
今まで散々酷い態度取ってきた…
なのに…なのに、なんで大輝は』
━━━ずっとあたしを好きでいてくれてるのだろう
そんな恋空を見ていられず、さつきは恋空を抱き締める。
「それは…私も同じだよ?
いくら恋空に酷い事言われても、酷い態度取られても。
恋空を嫌いになんてなれない。」
『……どうして…』
「そんなの決まってるじゃない。
恋空が私たちを大切に思ってくれてるように、私達も恋空が大切なの。
もう、家族みたいなものなんだよ?
だから、恋空が辛い時には、私達もその辛さを受け入れる。
嬉しいことも、辛いことも、全部半分こ!」
あ、違ったさんぶんこかなぁ?
と首を傾げるさつきを見て、
あぁもう、どうしてさつきはこんなに可愛いんだろうと、恋空は微笑みを浮かべた。