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□ごめんねがくれたもの
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Said:N
楽屋からスタジオへ向かう時のあなたの3歩後ろ
ソファーにうつぶせるあなたの頭のすぐ隣
ファンの皆にニコニコしながら手を振るあなたの対角線上
暖かくていつまでも甘えたくなるあなたの腕の中
いつからか抑えきれなくなったこの感情が溢れてしまって
どこが自分の居場所なのか分からなくなっていた
N:ね、大野さん、今日ご飯食べに行こうよ。
楽屋のソファーに肩をくっつけてとなりに座りながら聞いてみる。
O:んー、無理だな。
N:即答かよ!ちょっとは考えてよ(笑)
O:いやいや、もう考えなくても分かるじゃん。
N:冷たいなー。なんでダメかなあー。
釣り情報を見てるであろうスマホの画面から一切目を逸らさずに大野さんはつぶやく。
断り方はばっさりだけど言葉の端にはキツさはない。本当にいつもの事のように、あたりまえのようにお断りしてくる。
俺もやっぱりか!とすぐ納得して諦めちゃう。しつこすぎるのもどうかと思うから、それ以上は言わないし。
ふと大野さんが俺に目を向けて、冗談なのか本気なのか分からない表情でぼそっと言った。
O:・・・二人きりだと緊張するじゃん。
・・・は? え? それってどうゆう意味?
意外な一言に素直に質問した。
N:・・・何で緊張すんの?もうかれこれ10年以上一緒にいるのに今さらじゃない?
O:・・・冗談だよ。本当に今日は無理なの、用事ある。
その返答もつかめない表情で言うから、僕はすこし停止して考えてしまった。
N:・・・・。
そんな俺の様子に気づくと、ふにゃっと笑って、
O:ニノ、怒った?ごめんね?
と、その綺麗な手をのばし慰めるように俺の頭をぽんぽんと優しくなでる。
別に怒ってる訳じゃないし。ただいつもと違うその一言がなんだか気になってしまっただけで。
緊張って俺に対してってことだよね?それってどうゆう意味でかな・・?
思わず都合のいい夢を見ようとする自分がいて、ちょっと恥ずかしくなったから考えるのをやめた。どうせ何も考えてないよな、大野さんだし。
空気を変えたくて、ちょっと怒っている?いじけている程で話してみる。
N:じゃあ、ジュースおごってくれたら許します。
O:無理だって。
またもや即答され、お互い思わず噴き出してしまう。
N:ケチだなあ、大野さん。
O:いや、ニノには負けるって。
なんだかいつもの二人に戻ってほっとした。
5人でのバラエティの収録が終わって、気づくともうテッペン過ぎてた。
めずらしい事じゃあないけど今日は俺なりに頑張ったのでちょっと疲れたな・・。
さっき大野さんをご飯に誘ったけど、こんな時間になるならOKもらっても無理だったかもな。
「ありがとうございましたー、お疲れ様でしたー。」って皆で言いながらすれ違うスタッフさん達に挨拶して楽屋に戻る。
先頭を切ってスタスタと歩く潤君、何故かテンション高めにスキップしてる相葉さん、そして俺の少し後をニコニコ2人話しながら歩く翔さんと大野さん。
いつものメンバーの風景。そんな何でもない景色に安心して癒される。
楽屋に戻るとそれぞれ帰り仕度して、いつもは俺が一番に帰るんだけど今日は急ぐのも面倒なくらい身体がだるかったから着替えてソファーに一回座った。
A:あれ?ニノ帰んないの?
いつもと違う俺が気になったのか心配そうに近づいてくる相葉さん。能天気そうに見えて一番敏感なこの人。
N:うん、疲れたからちょっと一休み。
A:珍しいねえ、大丈夫?
N:大丈夫、大丈夫。ほら!早く帰んなさいよ。あなたがいると煩くて休めないから(笑)
心配されるのがこそばゆくて、わざと突き離す。
A:心配してんのに〜!ほんとに大丈夫?
S:何なに?ニノ具合悪いの?
相葉さんにつられて翔さんもやってくる。
S:マネージャーさっきスタッフさんと話してたけど、車早く回してもらうように連絡しようか?
相葉さんと一緒で心配してくれて、でもちゃんと対策を考えて提案してくれる翔さん。
N:大丈夫です。俺が一休みしたからってそんなに心配しなくても(汗)
A:当然じゃんか!お兄ちゃんは心配しちゃうよ!
冗談のようで本気な相葉さんの言葉に笑ってしまう。
N:いや、俺、あなたの弟じゃないし。
A:もー!冷たい事言わないの!本当の本当に大丈夫?
ちゃんと返事しないと納得しそうにない相葉さんに面倒くさいけどちゃんと謝る。
N:うん、ごめんね。ありがとう。翔ちゃんも、大丈夫だから先帰って。
S:無理すんなよ。お疲れ。
A:うん、じゃあ、先帰るね。お疲れ〜。
N:お疲れ様で〜す。
2人が帰ってふと楽屋を見渡すと楽屋のドアの前で電話していた潤君がスマホを耳にあて通話しながらこっちを向いてる。
M:・・・うん、分かった。いつもの所な。今から行くから。じゃあ後で。
今から友達と飲みに行くのかな?さすが若者は違うねーと感心しているとつかつかと近付いてきて。
M:どした?和?帰んないの?
相葉ちゃん同様に目ざとく気付いて心配してくれる。心配しているって言葉とか態度には出さないけどなんでかその気遣いのようなものが伝わってきちゃう潤君の目。
N:いや、そろそろ帰るよ。ちょっと休憩してただけ。
M:そっか。・・じゃあ先帰るね。
探るように見つめて何も聞かない潤君。疲れてるのはバレちゃってるけどあんまり皆に気を遣わせるのは本意じゃないから、本当にそろそろ帰ろうかな。
N:うん、お疲れさまー。
M:気を付けて帰れよー。お疲れー。