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□怖がりな僕たち(Nさん編)
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Said:N
俺が一番怖いのは
あなたを好きだっていう
叶うはずない想いを 期待を
あなたに知られてしまう事だった
でも、・・・ずっと欲しかったんだ
あなたが
小さなアラームの音とバイブの振動で目が覚める。
まだ薄暗い午前5時。
N:・・・ねむ・・。
昨日結局、家に帰りついたのは夜中の2時近くだった。
そして今日は遠方ロケで移動に少し時間がかかるという事でもうすぐ迎えが来る。
忙しいのはありがたい事だけどちょっと辛いよ。
もう少し惰眠を貪りたいけど遅刻はダメだから起きる。
布団をはぐと4月に入ったばかりの朝の空気はまだ肌寒くて、俺はいつも使っている友達がくれた膝かけを肩に巻いて、ベットから降りた。
あ〜だるいなぁ、なんて思いながら洗面所で顔を洗う。
歯ブラシをとって口に咥えると、ふと鏡に映る自分と目が合った。
その勝手悪そうな口の形に俺はドキッとした。
昨日の衝撃的な出来事を思い出し、寝ぼけていた頭が一気に覚醒した。
「・・・ニノの事が好きなんだよ。・・・こういう意味で・・・。」
N:っ!!
思い出してしまうと別に何もしていないのに、誰も見ていないのに恥ずかしくなって顔が赤くなってしまう。
乙女か!俺!って突っ込みたくなる。
俺がずっとひた隠しにしてきた想いにあの人は気付いていた。
お互いに抱いていたのは分かっていたけれど、言わないでおこうって思っていたはず。
でも、何を思ったのか昨日、あの人の口から唐突に告白された。
もう仕事仲間にも友達にも戻れないかもしれない。
そんな不安がずっと付きまとっていて言い及んでいた俺に、何でもないように「大丈夫だから」って言った。
顔を見れば分かりやすく反応してしまう、もう、どうしていいか分からなくて必死に自分と戦った。
そんな俺をしり目に膝枕させたり、抱きついたり、本気だそうとしたり、あの人やりたい放題。
だから悔しくて、俺の気持ち、ストレートには言ってやらなかった。
そ、それから、強引にキスした!あの人!最低だよ!
俺の長年の葛藤をあっさり覆してしまった大野さんに呆れて、もういいか・・・って思った。
手を止めて考えてると、ますます恥ずかしさがこみ上げてくるので、早々と歯磨きして洗面所から出た。
気持ちが伝わったってだけで、こんなに自分がおかしくなってしまうなんて先が思いやられる。