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□怖がりな僕たち(Nさん編)
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N:え、えっ!?
俺はバランスを崩して大野さんの胸の中に倒れこんで、半ば強引に抱きしめられた。
O:帰すわけねぇじゃん。
ドキッとした。単純に。
でも・・・。
N:・・・・・・。
O:ニノ?どした?・・気分悪くなった?
黙っている俺に気付いて大野さんが腕の力を緩めた。
N:・・・大野さん、昨日のさ、俺の気持ち伝わったって事だよね?
O:・・・・。
俺のテンションが下がった事に気付いたのか大野さんが、真顔になる。
N:あれってさ・・・、俺これからどうしたらいいの?
O:・・・・。
沈黙が怖い。
N:確かにさ、俺、大野さん好きだし側にいたいけど・・。大野さんのさ、恋人?になっていいの・・・?
このよからぬ期待を言葉にしてしまうと、いままで気持ちを曖昧にしていた分、際立って胸が苦しくなる。
泣きそうになる。
N:あ・・、の大野さんも好きでいてくれてるのは分かるんだけど・・・その・・・どうしていいのか分からなくて・・・。
気まずい・・・俺、重いよね?
女の子じゃないんだからさ・・・・。
大野さん呆れちゃったかな・・?
でもさ、でも・・・。
恐る恐る顔を上げて大野さんの目を見てみる。
O:・・・ばっかだなあ・・。いや、俺が悪いのか。
大野さんが再び、俺を抱く腕に力をギュッと入れてそっと俺を覗き込む。
そしていつも以上の柔らかい声で。
O:ニノ・・・、好きになってくれてありがと。
次に来る言葉が怖くて思わず目を瞑る。
O:ねえ、・・・俺のものになってくれる?
N:っ!
昨日以上に衝撃をうけた。
この言葉をずっと待っていた筈なのに、なんだかショックを受けたような、こらえきれないような切なさがこみあげた。
俺、ずっとこの人の物になりたかった・・・。
そしてあなたが、俺のものになればいいのにって思ってた・・。
許されない・・けど、だけど・・・ずっと欲しかったんだ・・あなたが・・・。
こんな欲深くて、我慢がきかない俺。
見てほしくない・・でも・・。
あなたが・・欲しかった・・・。
きっとこの時俺は、精一杯の自分をさらけ出していたと思う。
N:・・うん。あなたのものに・・なりたい・・・。
泣いてはいなかったけど声が思ったよりも掠れて震えて出なかった。
恥ずかしさじゃない。後ろめたさじゃない。
何だろう?
俺の心は本当にこの人でいっぱいだった。
すると大野さんは、力ない俺をそっと離して後ろにあったソファにもたれさせた。
そして、俺の頬や頭を優しく撫でて額にキスした。
ずっと願っていた・・・・。
叶わないと分かっていながらどこか諦めきれなかった。
この瞬間から。
あなたの全部、俺に頂戴よ。
俺も全部さ・・・全部あげるから・・・。
この瞬間からの俺を、あなたにあげる。
俺は大野さんの唇を額に感じながらゆっくりと目を閉じた。