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□抱きしめる(Nさん編)
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翌朝、目覚めると
俺の家のソファで
丸まってる大野さんがいた。
驚いて側に行くと
寒そうに身を縮めていた。
自宅に帰らずに
直接、俺の家に来たのか
洋服もそのままで
釣り具も玄関に
無造作に置かれていた。
俺は寝室から
毛布を持って来て
大野さんに掛けた。
いくら部屋の中だからって
10月の朝は少し肌寒い。
N:・・・・・。
スヤスヤと眠る
大野さんの寝顔を
眺めながら
昨日の電話を思い出した。
この人に何があったんだろ?
大野さんはあまり
他人に弱みを見せない。
何かがあっても
決して人に言わない。
自分の中のポリシーなのか
プライドなのか
分からないけど
人を頼らない。
良い所でもあるけど
悪い所でもある。
結局、俺にも
話してくれないから
知らない俺は
後々に本当の事を知って
気が気じゃない時があるのだ。
だから、無力な俺は
あなたを命一杯甘やかして
浮上してくるのを
待つ事しか出来ないんだ。
たまには、俺にも
あなたの背負ってるものを
分けてくれてもいいのにと思う。