小説

□僕が枕をする理由
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芸能界の黒い噂


それは後が経たない程数知れない。



そして僕にも枕営業のオファーが来た。


あるレコード会社の社長からその話はあった。


「今日は侑李君にとって良い話を持って来たんだよ」


そう言うと社長は僕の腰から下に掛けて手を伸ばすと布ごしに尻肉のワレメをなぞった。


「……ん」


その刺激に身をよじる。



…気持ち悪い。

最悪だ。何が悲しくてこんなおじさんに枕なんてしないといけないのか。


「侑李君の頑張り次第ではソロも夢ではないんだよ、、、」


肩に手を置かれ、耳元で囁かれる。



「……。」



暫く重い沈黙が流れた。



「……僕が言う事を聞いたら何でも叶えてくれるんですか?」


その言葉に驚きを隠せない表情をしていたが直ぐに口元を緩めた。



「何でも希望を聞こう。」


再度腰に手を回してきた。



「では、涼介を今よりもっと輝かせて下さい」

多分思いもよらない発言だったのだろう。


ひどく驚いた顔をさせじっと次の言葉を待っている。


「もう一度言いますね?山田涼介をセンターとしては勿論、ソロとしても輝かせて欲しい。」


多分真剣な顔をしていたんだと思う。


そう、


涼介は今よりもっと輝くべきだ。


そして、その権利は僕にある。


涼介は僕の力で頂点に立てる。


そう思ったら最高にぞくぞくした。



「知念君、、、もっと自分の為になる事で良いんだよ」


「ソロでのテレビ出演やCM、映画やドラマの出演とか数えたらキリがないだろ?もっと自分の為に使いなさい」



社長の言葉なんて全く耳に入らなかった。


僕には涼介だけが居れば良い。

テレビもソロも要らない。


そのチャンスが有るなら僕ではなく涼介に光を当てたかった。


デビューして当たり前の様にセンターは涼介だった。


いつも一歩前を立っている彼が好きだった。


もっと彼に頂点に立って欲しい。


その為なら何でもする覚悟があった。



「良いんです。今のJUMPには彼が必要です。僕は涼介の後ろに立っている方が幸せですから」

ニコっと微笑み社長の布越しに陰部を指先でなぞる。



僕の頑なな態度に社長は僕の意見を受け入れてくれた。




そして、その夜僕は社長に抱かれた。








「知念〜!ソロのCMが決まった!」



暫くして涼介が嬉しそうに僕に駆け寄って来た。



JUMPとしてのCMは幾つかあるが、ソロでは涼介が初のデビューになる。



「山ちゃん、凄いね!おめでとう」

僕は読んでいた本のページを閉じ涼介に目線を送った。


彼は照れながらありがとうなんて言っている。





もっとこの顔が見たい。




僕は更にテレビのプロデューサーや監督、事務所の社長に身体を預け股を開いた。



そして、涼介のドラマ出演や映画出演、ソロデビューが決まった。



彼の知名度は確実に上がって行った。






多分、自分の実力で勝ち取ったものだと思っているだろう。




(それは全部僕が成功させた)




その実感がじわじわと感情を揺さぶり堪らない気持ちになった。




涼介の活躍を見るたびに興奮する。





「…誰のおかげでチャホヤされてるか知らない癖に………。」


ボソッと声が出てしまった。




「…何?」



隣に座っている涼介が首を傾げる。





呑気な顔をして、、、、、。




計画は成功した。



次はこの無防備な涼介を手に入れるだけ。




涼介との距離を近づける。



「何だよ?」


小さく微笑み、涼介の手が頬に触れる。




「……」



僕は何も言わずに軽く彼の唇に自分の唇を触れた。



普段からふざけてスキンシップを取ることが多い為か全く動じる事なく涼介は笑っている。



正直、僕の気持ちに全然気付かない相手に苛立った。



数分後僕は彼の口から驚きの言葉に更に奈落の底に落ちることになるとは思いもよらなかった。




「知念〜」


嬉しそうに手を口元に当て僕を見つめる。


「何?嬉しそうだね。」


ふふっと軽く身震いをし口を開く。


「俺、彼女が出来た!」


「……え?」


最悪


恐れていた事が行ってしまった。


「モデルの娘なんだけど、、昨日エッチしちゃった」


その言葉に絶望が全身を襲って来た。



「彼女、結構舌テク凄くてさ、、、、」


「…やめてよ。聞きたくない」


屈辱だった。

涼介本人よりも相手の女に嫌悪感を感じたし殺意も宿った。



以前は僕だけの涼介だったのに、、


何としても取り戻さないと。



無防備に微笑み彼女とのノロケ話をしている涼介の腕を掴み無理矢理トイレの個室に連れ込んだ。



「…知念!?何だよ……」



重い雰囲気に気付き涼介の表情も曇る。



「……」


長い沈黙が流れる。


僕の機嫌を直そうと必死に考え込む涼介。



いつものキリッとしている涼介も魅力的だけどその慌てた表情も堪らない。




僕は涼介の肩を掴み、思い切り壁に押し付けた。



「って…」


壁に後頭部がぶつかり痛む場所を擦りながら涼介は僕を睨み付けた。




「…何?その眼……」



涼介の顔の横すれすれの壁を思い切り蹴り上げる。



小さく涼介が悲鳴を上げた。



ぞくぞくした。


こんなにも自分の手の内にいる彼が愛おしく感じた。



「知念…」



あから様に機嫌の悪い顔をしている僕をびくびくしながら見つめる。



「……ねぇ、彼女はさ、、どんな風に涼介を気持ち良くしてくれたの?教えてよ」



指先で涼介のモノをなぞるとゆっくりとズボンのチャックを下ろした。



「なっ…やめ、!!」



「ふふ、少し反応してるね。…興奮しちゃった?」


煽るように更にねっとりと指を滑らせる。



「んンツ」


ビクッと肩を震わせながら甘い吐息を徐々に漏らしていく。



「凄く固くなってきてる……ねぇ、男に触られて感じるのって…耐えられない?」



僕の言葉が勘に触ったのか涼介の顔が強ばった。


「…知念、良い加減にしないと怒るよ…」


そう低く呟くと僕の肩を押し、ドアに手を掛けた。


「…逃がさないよ」


逃がさない様に更に涼介の下半身を強く握った。


びくびくと脈打つのが掌に伝わった。



今にもはち切れそうな涼介を口に含み舌先で刺激した。



「くっ…やめ……!!」


抵抗する力も徐々に無くなっていくのが分かった。


舌先で鈴口を刺し根本から吸い上げた。


目線を上げると声が出ないように手で口元を必死で抑え我慢している涼介の姿が目に移った。


その快感に耐えている涼介は世界一綺麗に見えた。


「…涼介、、彼女はどんな風に舐めてくれたの?」

舌先でねっとりと舐め上げながら問いかける。


「…誰が言う…か、よツ」



息を漏らしながら悪態を付く。


「ふーん、、じゃあさ…これは?」


そう言うと一気に根元まで加え込み喉の奥まで呑み込んだ。


喉の筋肉を伸縮運動させ更なる快楽を誘う。

「あッ…やめ…ッ」


口内に苦い味が拡がる。


「イッふぇ良いひよ」


加えながら囁く。



「喋んな!」


涼介が僕の髪を掴みぐっと自分のモノに押し付ける。

多分無意識だろう、、、、。


更に奥まで呑み吸い上げる。

激しく頭を前後に動かした。


「…ッも、、イッ…ッ!」

涼介が小さく呻く。



それと同時に口内に勢い良く達した。


苦味と独特の薫りが鼻奥を刺激した。


夢にまで見た涼介の精液を迷う事なく飲み干した。



「……信じられない、、何でこんな事…」


今にも泣きそうな表情で涼介から唇を開いた。



「……慣れてるからね」



「え?」


思いもよらない返答に涼介の表情が曇る。


「社長とかプロデューサーとかに枕してるから……驚いた?」


静かに唇を開く。


そして続けた。

「…ねぇ、最近涼介が忙しくなった理由…分かる?」


表情一つ変えない僕を軽蔑する様に見つめてた涼介もその言葉の意味を理解し額から冷や汗が流れる。



「…まさか」


「……僕が頼んだんだよ。涼介の知名度を上げて欲しいって……さ」



そこまで言い終わると今まで黙ってた涼介の表情が険しくなり僕の胸ぐらを掴んで怒りを露にしてきた。



「…それじゃ…今までの事はてめえの仕組んだ事だったのかよ……」


ぐっと手に力が隠る。



「…涼介の為なんだよ」



耳元で囁く。


その瞬間に僕の胸ぐらを掴んでいた手に力が入り僕は壁の方に突き飛ばされてしまった。


「…酷いなぁ…」



「ふざけんな!そんな事して有名になっても嬉しくねぇよ!」


何で涼介が怒っているのか解らなかった。


ただ、涼介に光を浴びて欲しかった。

もっと輝いて欲しかっただけの事なのに……。



「…もう俺に話しかけんな!…顔も見たくねぇよ!」


そう声を荒げると涼介は背を向けトイレを後にしてしまった。



その光景をただ見送る事しか出来なかった。



それと同時に怒りが芽生えた。


僕から離れる涼介が憎かった。

こんなにも愛しているのに何故分かってくれないのだろう?



許さない。


僕の気持ちを分かってくれないで女なんかに浮かれて…なんて滑稽だろう。

涼介なんて潰れてしまえば良いのに、、、。




その夜僕はある雑誌の編集長と夜を共にした。

目的はただ一つ



涼介をもう一度手に入れる為だった。




「…知念君本当に良いんだね?」



男はそう言うと僕のアナルに挿入しているバイヴを引き抜くと自分の硬く大きくそそり勃つモノを当てる。




「あッ早く、、挿入れて下さい。」


自分で肛門の入り口を指で拡げ、男を待った。


「その代わり……解りますよね?」



低く小さな声で囁くと同時に男を流し目で見つめた。



「…分かってるよ!任せてくれよ…明日には雑誌に載るから」


「…ふふ、、頼みますよ。…」


その後は朝まで抱かれ続け、最後には気絶という最悪な形に終わった。



そうまでしても僕にはやらないといけない事があった。



そして雑誌の発売日



その一面は涼介の事が大きく掲載されていた。


『山田涼介!熱愛発覚!』


涼介の熱愛報道の記事



相手はモデルの○○

二人で深夜山田宅に入ったきり朝まで出て来なかったとの内容。




今人気の涼介の熱愛報道は全国に衝撃を起こした。



この問題で涼介は事務所を謹慎処分を受けた。




計画通りだった。


全て僕の思い通りだった。


あの日涼介は僕を拒絶した。




僕を否定した事を後悔させたい。


その為なら何でもやってやる。


そして僕は枕を続ける。
















end

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