小説

□プレイは了承を得て
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昼下がりの午後、マンションのベルが鳴り響く。



「山田さ〜ん。お届け物で〜す」


洗い物の途中だったが、手を止め急いで声のする玄関へと足を速めた。


ドアを開けると、俺よりも背小さい男が立っていた。


「今日は。山田涼介様宛にお荷物をお届けに上がりました。」


その男は小柄でくりくりとした大きな瞳を此方に向け、柔らかく微笑んだ。



帽子から覗く髪は、黒々として艶めいていた。

男の俺でもドキッとしてしまうような、整った顔立ちをしており、まるで少女の様に美しく思えた。



「あの……山田さん?」


宅配員の声に、我に返り男の顔を見上げた。



「え?」



「あの……はんこを」



少し困った様に眉を下げ、はにかみながらそう言って伝票を差し出した。


「あぁ……すみません……」


引き出しから印鑑を取り出すと、差し出された伝票に印を押し男の手に差し出した。



次の瞬間



腕を強く掴まれ、壁際に押し込まれた。背中に強い刺激を感じ苦痛に顔を歪める。



「何……するんですか!?」



突然の出来事で上手く整理が出来ず、うわずった声色で叫び男の顔を睨み上げた。



「いや、まさかアンタもこっち側だとは思わなかったよ……」


さっきまでの可愛らしい笑顔から男の雰囲気が変わり、怪しくほくそ笑み小包をかざした。



「……これさ、ゲイ向けの玩具だよね?」


トントンと指先で伝票に記載されている会社名を指した。



「……何で…それ……」


自分でもひどく震えているのが分かる。



「あっは……僕も君と同じ人種だからね……一目見て解ったよ」


口元に手を当て、ケタケタと笑い唇を此方に寄せてきた。




「これで彼氏とでも楽しむつもりだった?」


パッケージから取り出した双頭バイヴを掲げた。


「なっ」


その男は手にしていたバイヴを俺の顎の下に入れ、軽く持ち上げた。


目と目が合った瞬間、自然と唇が重なった。




「んぅ……」



完全に雰囲気に呑まれてしまった。


口内で男の舌が生き物の様に激しく動き回る。


上顎を舌先で刺激され、息が漏れてしまう。



「ちょ……止めろっ」


やっとの思いで、相手を押し退けその腕から逃れようと身を捩らせる。



だが、その小さな抵抗も虚しく両肩を強く掴まれドアに押し付けられた。


「痛……ツ」



「…カマトトぶらなくても良いよ。僕には分かるんだ…」



ニコッと目を細め、笑みを浮かべる。


「…何、を…」


男は再び笑みを浮かべると、顔を耳元へと近づけ唇を開いた。



「今すぐ僕に突っ込んで欲しいって…欲情したメスの顔をしてるってね…」



「なっ」


男の顔が嫌な程ににやついている。


脳内でヤバいと誰かが囁くような気がした。


「違うっ俺は…」


俺は少々ヒステリックに叫びながら、男を押し退け外に逃げようと足を速めた。



しかし、その思いも虚しく再び男の胸元へと引き寄せられた。


「っ離せ…嫌だって!!」


きつく抱きしめられて逃げ場が無いのは分かっているが、一刻もこの場所に居てはいけない気がした。

必死に身をよじり抵抗をする。



「…嫌?」


再度耳元でかすれた声が響く。



「…嫌じゃないでしょ?」


男の白くて細い指先が、ゆっくりと俺の太股を撫で上げる。


「ん、」


微かな刺激に体が小さく揺れたのを男は見逃さなかった。


指先がズボンのチャックに伸びるとゆっくりと引き下げて下着越しに小さく自重している蜜に手を伸ばした。



「こんなにして…期待してたんだ?」



くるくると手のひらを回し苦しそうに張っているモノを刺激する。


「あっ…や、」


ぴくっと眉が上がり、眉間にシワが寄る。



段々と手の動きが変わり、露になったペニスをすっぽりと手の中に包み込みぬるぬると動かした。


「…凄い…もうこんなにビクビクしてる…相当溜まってたんだね…最近彼氏としてなかったんだ?」

男はゆっくりと手を上下させながらクスクスと小さく笑った。


自分でも男の柔らかい掌でどんどん硬くなり、だらしなく蜜を垂らすのが分かり、顔全体が熱くなった。



「ンぅッ…それ、ばっか……しつこ……ッ…」


ゆっくり、時間を掛けて焦らす彼に段々ともどかしくなり腰をくねらせた。


「凄い……びくびくしてる……イキそう?」


親指を亀頭に引っかけ、軽く爪を立てられ、快楽が全身を襲う。


必死に男の背中にしがみつき、声を殺して首を縦に振るった。



「クス………可愛いね……でもまだ駄〜目!」


口角をいやらしく持ち上げると、先ほどのバイヴに手を伸ばした。


今の現状に頭が追い付かずに呆然と男の姿を見つめる。


男はポケットから小さい小瓶を取りだし、手のひらに透明な液体を擦り付けた。

その伏し目がちな表情に不思議と綺麗だと思ってしまった。
視線に気づいたのか、その綺麗な瞳が此方を捕らえた。


柔らかく微笑む彼に胸が高鳴る。



「……もっと気持ち良くしてあげる。」



腕を引っ張られ、壁に手を付き、お尻を高く持ち上げた体勢をとらされた。


恥ずかしくてうつ向いていると、ひやりとした感触に体が跳ねる。



「ひぃッ…なん…?」


答える暇もなく、胎内に挿入ってくる感覚。


狭い肉壁にいっぱい埋まる棒状の器具がぶるぶると強い振動で襲ってくる。



「はぁぁぁぁぁッ…!!」



不意な快楽に赤く充血した鈴口からは勢い良く白濁液が吹き出した。




「………へえ……」


男の口角がいやらしく持ち上がる。



「……オモチャ挿入れただけでイクなんて、、結構変態なんだね……ふふ、、」



そのままバイヴのスイッチを最大にし、一気に奥へと突き上げられた。



「あっあん……も、や、」



嫌でも口から甘い吐息が漏れてしまう。


頭では見知らぬ男に犯される事に拒絶しているのに、身体は求めてしまう。

気がついたら、男の首に自分の腕を回しその深紅の唇に自分の唇を押し当てていた。



「ん、んふ……はぁッ」


必死に舌先を絡ませる。

顔全体が熱い。


でも、



彼には逆らえない。




唇を離すと、つぅっと透明な糸が名残惜しそうに二人を繋いだ。




「…………ね、どうして欲しい?」



男が小さく息を吐き俺の顔を覗き込み、柔らかく微笑む。




あぁ………もう………。



早く、




早く、






「欲しい……」



その瞬間、勢い良くアナルに埋まっていた器具が引き抜かれる。



急な刺激に身体中が痺れ、声を抑える事が出来ずに小さく悲鳴をあげる。



ぽっかりと空いた穴はひくひくと筋肉が痙攣しいやらしく濡れている。



次の瞬間、硬く脈打つ肉棒がゆっくりと中に入って来た。



「はぁぁッ……ふ、ぅッ……」



狭い肉壁にぎゅうぎゅうに彼のモノが存在を自重している。



ドクドクと脈打つ肉の塊を全身に感じながら、俺はうっすらと目を細め男の首に掛かっているネームタグを確認した。



必死に男の名前を確認する。名前も分からない相手と繋がるのは流石に気が引いたからだ。

そっと指先を伸ばすと、勢い良くその腕を掴まれ、壁に押し付けられた。


「……何?」


男が不機嫌そうに耳元に唇を寄せ、低い声で囁いた。


直ぐに激しくピストンを繰り返す。

グチュグチュといやらしい音が頭に響き恥ずかしくなり顔全体が紅潮した。



「あ……はぁ……ッ……名、前……ッ……」



やっとの思いで口を開き声を押し出した。




「……何?名前知りたいの?」


その問いかけにコクコクと何度も頷いた。



真っ赤に染まった頬に手が伸び、思わず目をきつく閉じる。


耳元に微かに吐息が掛かり、ねっとりと舌先で耳たぶから軟骨に掛け舐め上げられる。



「ひゃッ……ンゥ……」


びくりと肩が浮いて、身体中がびくついてしまい、男が小さく笑い声を上げた。


首筋にも舌先が当てられ、
軽く歯を立てられた後に強く吸い上げられた。

その間も男は休む事なく、腰を前後に打ち付けている。



「ひぃッ……はぁ、、も、イク……あぁッ」


後ろからガンガンと腰を打ち付けられ、腸内が男のモノでぎゅうぎゅうに埋められていく。


「……はぁ……知念って呼んで?」



色を込めた息を吐き、男が耳元で囁いた。


「ちね、、ん……?」



それが彼の名前なのか?


「そう。……もっと呼んで?……涼介」



突然名前を呼ばれ、一気に身体中が敏感になり、下腹がきゅんと切なくなる。


「ちね、、ん……知念ッ」


一言ずつ、大切に言葉にした。やっと名前が分かり、正直嬉しかった。


「ッ……あんた……それ、反則ッ……」


ぐいっと腰を掴まれ、挿入したまま身体の向きを変えられ、俺は知念と対面になる形になった。


知念は俺を抱えると、ゆるく腰を動かし始めた。


俺は知念の首に腕を回し、必死に唇を押しつけた。


「涼介……」


お互いに訳が分からなくなるまで深い口付けを交わし、快楽に溺れ身体を求めた。


「あっンゥ……は、ちね、、も、いッ……」


目に溜まった涙が自然と流れ落ちる。快楽に身体が敏感になり、腹の奥が熱くなる。


知念の動きが早くなり、喘ぎ声と荒い息遣いだけが、部屋に響いた。



「ッ……涼介……中に出すよ……」


「や、ナカは……やぁッ……あは、あっんんッ……」


嫌がる俺を尻目に容赦なく胎内に熱い液体が注がれた。

「……涼介……好きだ。」


涙で濡れた目元に軽いキスが落ちて来た。


「ん……」


お互いに自然と唇を寄せ、深く舌を絡ませる。


きつく抱きしめられた所で俺の意識は遠退いた。






「……ごめんって!でもさ良かったでしょ?」


両手を合わせ、深々と頭を下げる相手を睨みながら、深いため息を吐いた。


「……馬鹿!もうお前の変な趣味に付き合わないからな!」


そう。今回は思考を変えて間男に襲われる団地妻的なプレイをしたいと知念がしつこく言ってきたので、仕方なく付き合う事になった訳で…………。

「でもさ、後半はノリノリだったじゃん……涼介も以外とアブノーマル好きだもんね〜」


怒る暇もなく、知念が在るものを目の前にかざした。


「今度はこれで楽しもうか?」


そう、知念が嬉しそうに持って要るのは牧場とかで使う、いわゆる搾乳器だ。


「馬鹿!!もうやらねーよ!」


顔が熱くなり、知念に視線を逸らせる。後ろからちぇっと舌打ちが聞こえて来た。



絶対に言えない、、搾乳器を見た瞬間から、痛い程勃起してしまっているなんて……。期待していると分かったら知念は調子に乗るだろう。


だからあえて、興味の無いふりをする。



だから、早く、もっと

酷いことを期待してしまう。









薄く唇を開き、舌舐めずる。




もちろん知念は俺の淡い期待に気付きもしない。





end

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