小説

□インモラル・アラカルト
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「…気に入らないなぁ……」


高校に入学してから直ぐに彼の存在は知っていた。サッカー部のエースで人気のある彼に嫉妬に似た感情が入れ混じっていたのに気付いたのは入学してから直ぐの事だった。


涼介は僕が欲しいものを全て持っている……。



今思うとそれは憧れに近かったのかもしれない。





「部長…話って何ですか」


僕は、選手兼マネージャーを勤めるサッカー部の部室に呼び出された。

部活も終わり、辺りは暗くなっており、部室を照らす蛍光灯も切れ掛かっているのか着いたり消えたりとしており、不気味に感じた。


「………………」

サッカー部部長の高木が
先ほどから気まずそうに目線を泳がせている。

そう。目の前にいる男は涼介が好きな相手でもある。


そして、彼も涼介の事が好き………………。



お互いに両想い…。そんなの絶対許さない、許す筈が無い。

今までも涼介に近付く奴は男だろうが女だろうが関係なく潰してきた。

僕が愛想を振り撒くと簡単に落ちる。そんな中途半端な気持ちの奴に涼介は
渡さない、、これからもずっと……。



「……なぁ。知念……」

高木が重い口をやっと開き言葉を絞り始めた。


「…………。」


今までもこの様な事は何度かあった。興味本意でズケズケと聞いてくる無神経な奴。今回もそうだろうと勘潜っていたが高木から沈黙を破った。


「お前さぁ、良くない噂流れてるけど……本当か?」


あぁ……またか……。

溜め息を吐き出しながら気だるげに答える。


「………売りの事ですか?」


その言葉を吐いた瞬間高木の眉がピクリと持ち上がる。

構わす続ける。



「マネージャーとして性処理を手伝ってあげてるだけですよ……。ほら、僕可愛いから良く頼まれるんですよね〜」

わざと嫌みっぽく笑みを浮かべ高木の顔をまっすぐ見た。


高木が怒りに震え、表情が強張り険しくなる。


「っ」


急に高木が胸ぐらを掴み、強い力で壁に押し付けた。

「……てめえ、自分が何言ってるか分かってんのか?」

長い沈黙が流れた。


本当に、イライラする。

自分と涼介が築き上げた地位が壊されるのがそんなに許せないんだ……。

怒りに震える高木を嘲笑うかの様に釜をかけてみる。

「……ねぇ部長……怒っている所悪いけど……涼介の事好きでしょ?」


高木の瞳が思い切り見開かれた。ごくりと唾を呑み込む音が耳に触った。



再度二人の間に重い雰囲気が流れた。



「…………は?」


動揺したのか、目線が泳ぐ高木が何だか可愛くてゆっくりと高木の首に腕を回し、耳元で甘く囁いた。


「……知ってますか?アンタが好きな涼介も男に脚を拡げる人間だって事……」


そう、見てしまった。
涼介がコーチにレギュラーの代わりに無理矢理身体の関係を強制された事を。

そして、この男……高木もその現場を見てしまい、速足で立ち去るのを。


罪悪感に沈む相手にピリオドを打つ。


「……見てたでしょ?分かってて……逃げたんだよね…………何で?涼介が犯されてるの見て興……」


「違うッ」

僕の言葉に被さるように大声を上げた。


ばつが悪そうに視線を外す高木の唇に自分の唇を重ねる。


高木の瞳が思い切り見開かれ、身体が硬直したのが分かる。



「ふふ、、ねぇ部長……僕を涼介だと思っても良いよ……僕が慰めてあげる」


いつもの台詞を言いながら高木のズボンを引き下げ露に なった高木を唇に押し当て笑みを浮かべる。


そこからは簡単に堕ちた。あれだけ警戒していた高木も今は快楽に身を任せている只の男に過ぎない。


『…もうそろそろかな……』


高木を加えたまま視線を時計の針に移す。

そろそろ携帯を忘れた涼介が此処に来るはずだ。


そう、全ては僕の計算通りに過ぎない。


わざと涼介の携帯を隠し、此処に来させる作戦を作った。……高木に呼び出されるなんて想像もしていなかったが、上手く巻き込んだ。


「ッ……知、念……もう、」


高木がきつく目を閉じ言葉を籠らせる。

次の瞬間口の中に苦い味と生暖かい液体が注がれた。


「ん、ぐぅ……ふ、」


ゆっくりと口の中でかき混ぜながら精液を飲み干す。


ふと、入り口に目を向けると人が覗いていた。


「……来たね」


目を細め、入り口で立ち竦む人物を確認する。


涼介だ。


僕達の行為をただ呆然と見つめている彼がとても愛しく感じた。



そりゃそうだろう。好きな相手が特に嫌いな男にちんこをしゃぶられてヨガっているのだから。。。



もっと傷付く涼介の顔が見たくて酷い事がしたくなる。


目の前で荒く息を吐く高木を引き寄せるとその唇に自分の唇を重ねると舌先を挿入し深く絡ませた。


わざと横目で涼介を見る。


目と目が合い、僕が意味深に笑みを浮かべると、涼介は困惑な表情を浮かべ体勢を変えた。


逃げる様に立ち去る彼を見つめ、再度高木との行為に身を委ねた。








準備は出来た。


僕は高木との行為を終えた後、暗い部屋で以前涼介がコーチに凌辱されている所を盗撮した画像を彼のスマホに移し変えた。


これを見たらどんな顔をするのかと思うと胸が高鳴る。鏡越しに自分の顔を見つめると、酷い程にやついていた。


かなり楽しい。



「……待っててね、、涼介……僕が君を壊してあげる」


涼介の犯されてる画像を見つめる。



身体中が熱くなり、冷めない興奮から自分の昂る欲望にゆっくりと手を伸ばした。




さぁ。ここからが本番だ。








end

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