その他

□巻き込まれパラダイス
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しーん、、と静まり返る楽屋。


俺、宮館涼太以外のメンバーは向井康二と目黒蓮、そして俺の幼馴染の渡辺翔太だけだった。


そして、今まさに修羅場が目の前で起きている。




「……康二……康二……いい加減にしろよ……舘さん困ってんだろ」


目黒から見たことの無い黒いオーラが漂い、目の前の康二の肩を掴み自分の方へと向かせようとしている。


「………嫌や」


康二はと言うと、俺の胸元に顔を沈め嫌々と首を横に振るのみでけして目黒の方を見ようとしない。


俺は康二にしがみつかれ動けずにいる。


翔太の方に目線を向けると心配そうに様子を伺って居たから、少し微笑み小さく頷いた。


これくらいなら一人でも対処出来る。




「チッ……面倒くせぇ」



目黒が低くそう吐き捨てるとびくん、と康二の肩が大きく跳ね上がった。



「ほら、康二……早く離れて……こっちに来い……っ…」


今も尚、俺にしがみつき離れようとしない康二の腕を掴み目黒が無理矢理引き離そうとした。



「や、嫌やぁぁ〜‼目黒怖いねん!あっち行って!」


服を掴む手に力がこもる。

まるで子供が駄々をこねる様に首を大きく振り必死に抵抗した。


「まぁまぁ……目黒もちょっと落ち着け。今凄い顔してるし……康二もかなり怯えてる……お互い落ち着いたらで良いんじゃないか?」



お互いを(主に目黒)刺激しない様に落ち着いたトーンで二人の間に入った。



「………っ」



怪訝そうな表情で目黒が俺を睨む。


「……こんな状態のお前らを二人きりには出来ないよ」


震える康二の肩を寄せ、優しく背中を撫でる。



それすらも気に入らない様子で更に目黒の顔が歪んだ。



「……舘さん…巻き込んですみません。……でも、これは俺ら二人の問題なんで」



ドスの聞いた声で目黒が放つ。


再び康二の肩を掴み無理矢理自分の方へと向ける。




「…ひぃ…っっ」


涙でぐじゃぐじゃの顔を歪ませ康二が小さく悲鳴を上げた。



「康二……行くぞ」


指で顎を固定し、無理矢理視線を合わせる目黒が康二だけに分かる様に唇を動かした。



やっと観念したのか康二の抵抗が緩んだ。

その隙を付いたのか直ぐに目黒が康二を立たせた。



「や、、っぱり嫌や!だ、舘さま
‼翔太君‼……た、助け………っ」


嫌がる康二の腕を掴かみずんずんと出口へと向かう目黒をもはや止められずに居た。



「だ……っ…舘さま〜‼……イヤや〜〜‼‼」


廊下から康二の悲鳴に近い叫び声が聞こえた。




「…………涼太……あの二人放って置いて大丈夫なの?俺…見てこようか?」


さっきまで様子を見ていた翔太が心配そうに近づき隣に腰を下ろした。



「……まぁ、目黒の事だし、康二の事殴ったりとかはしないと思うから……部外者の俺らの出る幕じゃ無いよ」



「……そうか」

小さく俯き翔太がそう呟く。


深くため息を吐き出すと二人が出て行ったドアを眺めた。


「……涼太……服…ベタベタじゃん…大丈夫か?」



翔太の声にさっきまで康二が張り付いていた場所を見ると、涙や鼻水でビショビショに濡れていた。



「………全く…不器用な奴らだよ」



痴話喧嘩なんかに毎回巻き込まれても困る。


今回の騒動も嫉妬した目黒が康二を問い詰めたのだろう。


そして、康二が俺にべったりとくっついて来たもんだから更に機嫌が悪くなったって所かな。




小さく笑うと翔太が不思議そうな顔をした。






二人がどうなったかはまた別の話だ。




END


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