まかない飯

幕】剣客達の恋話と色話
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「ななななんてことを!今すぐ夢主ちゃんのお部屋、変えてもらいます!!」

「フン、君が駄目で、俺が駄目なら他に引き受け手があるか」

「っは、原田さんなら!原田さんは夢主ちゃんを、大切にしてくれてるしっ」

沖田が本気で動揺し、斎藤はやれやれと笑ってしまった。
斎藤は悪戯をやめず、意地悪く鋭い目つきで沖田を見据えている。

「君だって一回や二回はあるだろう」

「うっ・・・」

男なら惚れた女を相手に・・・必ずあるだろう。
斎藤の視線を沖田も否定は出来なかった。

「まぁ、毎日と言うのは冗談だ。さすがにそこまで暇じゃあないし、阿呆でもないさ。無いといったら嘘になるがな」

にやっと笑って見せる斎藤に、沖田は膨れっ面で顔を赤くして「そうですね」と一言返した。

「だいたいこんなくだらん話を始めたのは君だぞ、沖田君」

「僕はそんな話を始めたつもりはありませんよ!」

「そうかい」

歯を見せて笑うと、斎藤は酒を口に運んだ。
沖田もはぁっと溜息を吐いて口に酒を含んだ。

「じゃぁ沖田君はどんな風に夢主を犯しているんだ」

「ぶぅっっっ!!!」

沖田は再び酒を噴き出した。
何を聞きたいのか、普段なら斎藤の口からこんな言葉は出てこない。

「ちょっ、ちょっと斎藤さん!!なんですか!弱い酒のせいで悪い酔いしちゃったんですか?!いつもの酒には強いくせに変なこと言わないで下さいよっ!!」

「ちっ、つまらん」

酒の肴に面白い話の一つでもしてくれたっていいだろ。
つまらんと言いながら斎藤は楽しそうな顔をしている。

「まぁこの状況で俺なら三人でってのも悪くないが二人掛りは品が無い。まぁ順に、で始まるな」

「なっ、何を」

「何処からがいい。酒を取り上げる所か、こっちに座った辺りか」

斎藤は夢主の寝姿を確認すると、もう一度酒を口に運び、ふっと目を瞑った──
 


──酒を取り上げられた夢主はする事が無く手持ち無沙汰になっていた。

むすっと急に不機嫌になったのがよく分かる。
退屈そうだ。
斎藤と沖田をずっと見据えて暇つぶしに観察している。

これは面白い、少しおちょくってやろうと斎藤は思い付いた。

「おい、退屈そうだな」

向かいに座る夢主に声を掛ける。

「さいとうさん・・・」

敢えて無視されていると感じていた夢主は驚いた。
酒が回りきっていないとは言え、十分酔っている。夢主の言葉はまとまりがなく、声も弛んでいた。

「そりゃぁ、たいくつですよぉ、とんしょにいても、はりしごとして〜おてつだいしてぇ〜・・・それのくりかえしなのに〜・・・こんなときくらい、たのしみ・・・たいです・・・」

「ほおぉ」

認める素振りで頷くと、斎藤は夢主の膳に近づき、先程の弱い酒を注ぎ足してやった。
 
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