まかない飯

幕】剣客達の恋話と色話
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「もう一杯だけ飲むか」

「いぃん・・・ですかぁ・・・」

夢主は嬉しそうに猪口を受け取ると、斎藤に微笑んでから呑み干した。
ほろ酔いに追い打ちをかけるには充分な一杯だ。

「うぅん・・・やぱり・・・おぃし・・・ですね」

ふわぁと揺れ、夢主は幸せそうに猪口を置いた。

「さ、これで終いだぞ」

斎藤はすっと酒を持って立ち上がった。

「ぁあっ・・・ずるぃなぁ〜さいろーさんたち・・・」

夢主はすっかり酔いが回ったらしい。力なく座り、今にも倒れてしまいそうだ。
斎藤はこの時を待っていた。
だが敢えて元の場所に座り直した。

「駄目だ。もう充分酔っとる」

再び暇になった夢主はまた斎藤達を見たり、部屋の中を見回したりして時間を持て余している。
足を崩しへたりと座り込んで、動く度にゆらりと揺れるのは酔いのせい。
斎藤と沖田は今まで通りにどんどん酒を進めていた。

「あたしも・・・もっとぉ・・・ほしぃのに・・・」

その言葉で斎藤が夢主を見た。

「そうか、欲しいか」

「はぃ・・・ほしぃいです・・・だってたぁ〜ぃくつ・・・すぎ・・・」

「退屈、か」

フン、と嬉しそうに笑うと斎藤は再び夢主の隣に移動した。
だが先程と違い、手は空だ。

「酒はもう駄目だ。だか退屈しのぎに面白い事を教えてやろう」

「おもひ・・・ろぃことぉ・・・」

斎藤をまどろんだ目で見つめ、夢主は大きく首を傾げた。

「そうだ、とっても楽しいぜ・・・」

そう言って、斎藤が夢主の帯をしゅるりとほどいた。

「ゎあ・・・なに・・・するんですかぁ・・・」

ゆっくりと驚くものの夢主に抵抗する素振りが無い。
帯を外されても、手拭いを落としてしまった程度の反応を見せた。

「斎藤さん何をっ!!」

驚いたのは沖田だ。
いいから邪魔するな、と斎藤が視線で沖田を牽制する。
手にある帯を夢主に見せつけ、柔らかい声で言い聞かせる。

「これはな、邪魔なんだよ」

「じゃま・・・なんれすか・・・じゃぁ・・・しょぉがなぃ・・・れすねー」

夢主はにこにこと両手を挙げ、斎藤が完全に帯を外せるよう協力している。
帯を外すと、斎藤は中の腰紐を緩めた。
自ずと着物の合わせが広がる。
全て奪ってしまいたい斎藤だが、完全には外さず、夢主の着崩れた姿を楽しんでいた。

「ぁあ・・・さぃと・・・さ・・・」

さすがに困った様子で夢主は着物の衿元を掴み、前を閉じた。
しかし酔った夢主の動きは大雑把で、隠したつもりが胸の膨らみが覗いている。

「これじゃ・・・みぇちゃふ・・・」

もともと酒で赤く染まっていた顔。
どうしてですか・・・と夢主は不安そうに首を傾げた。

「それでいいんだ、楽しい事を教えてやる。お前の手を使う」

耳元で言う斎藤の息がくすぐったく、夢主の肩がふるふるっと震えた。

「たのしぃ・・・こと・・・」
 
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