おつまみ

明】雪代縁・全てを解かして※R18
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「夢主」

縁が夢主の柔らかな腿を撫でた。閉じようとする脚を押し開かれて、夢主の体が硬直する。不安な眼差しを向けると、縁が真っ直ぐ見つめていた。請うようで、強いるような、不思議な熱を持った瞳が夢主を見つめている。不安よりも愛おしさが増す、切ない色をしていた。

「いいカ」

「っ……ん……」

大切なものを俺なんかが侵して本当にいいのか。訊ねた縁に、夢主は小さく頷いた。
縁がいいの。言葉に出来ずとも、愛しさに満ちた表情が全てを伝えていた。

縁が夢主の濡れた蜜口にそっと熱い塊を当て、夢主は思わず目を瞑った。
体の中に徐々に分け入る熱いものを感じる。肉壁を押しのけてゆっくりと縁の熱いものが進んでいく。鈍い痛みに、夢主は微かに顔を歪めた。

「っく、痛いカ、夢主っ」

苦しそうに問う縁に、夢主は隠さず頷いた。

「ぅん、でも……大丈夫……」

「力、抜いて、少しずつ、動くから……」

優しくするから、痛みを心地好さに変えるから。
自らを夢主にうずめきった縁は、安心してと囁くように口づけをした。

「ふぁ……っ」

「夢主、俺にしがみつけ、痛かったら、爪を立てても構わナイ」

「ぅんんっ……」

そんなことをしたら縁の肌を傷つけてしまう。首を振った夢主だが、縁の腕を掴んでいた。太くてとても指が回らない。それでも痛みを逃そうと、無意識に力を込めた。

「んっ、ァ……ンっ、」

縁が動き始めると、夢主から苦しそうな声が漏れる。
大切なものを壊してしまわないよう、慈しむように、縁はゆっくりと動き始めた。

痛みから逃れる為に無意識に縁を押し返していた夢主の体が、静かに抜き差しを繰り返すうち、逃げるのをやめた。苦しそうな声は、少しずつ甘さを含んだ声に変わっていく。

不規則だった声は縁の動きに操られるよう同期していった。縁が夢主を突き上げる度に湿った声が響く。
夢主の秘部が柔らかさを増し、自分を受け入れてくれたと察した縁は、徐々に動きを速めていった。

「っ、もう、大丈夫だナ」

夢主は首を振るが、縁は律動を刻み、強さを増していった。

「ゃアァっ、ァあっ!んっだめぇ、っよくっ、ゃンンッ!」

夢主が理性を失い乱れていくさまを見て、縁は更に奥深く己を突き上げた。幾度も幾度も肉壁を穿ち続ける。縁の腕を掴んでいた夢主の手は落ちて、ベッドの上で敷妙を掴んでいた。

もっと奥まで、夢主の中に。
夢主を求めて激しくなる縁の動き。夢主の体は全てを委ねて揺れている。揺れる乳房に目が留まった縁は、おもむろに可愛い尖りを摘まみ上げた。

「ひぁンンッ、だめぇ……んふっ……」

縁は動きを弱め、夢主の尖りを口に含んで弄び始めた。もう一方は指先に遊ばれて、夢主は胸を突き出して背を反らしていた。嫌がる言葉を漏らしても体が縁を求めている。自らの望みに気付かぬ夢主は、うわごとのように止めてと繰り返した。

「ぁああっ、だめなのっえにし……ンぁアアッ、だめ、ヤぁっ……」

刺激を変える度に声を荒げる夢主に、縁の口元が緩んだ。愛おしくて仕方がないのに、そんなに可愛い反応をされたら苛めたくなるだろ。怖がらせたくも泣かせたくもない。ただ少し、感じた経験のない悦を与えてみたい。縁の中の男の欲が悪戯を誘った。
縁は尖りを軽く噛み、固定したうえで激しく舌を動かした。

夢主は堪らずいやいやと首を振り、激しく甘い声を響かせた。

「ちょっと声がデカいゾ」

ここがドコか忘れたか。
顔を離し体を起こした縁に窘められ、夢主は唇を噛みしめて頷いた。周りに人がいる、思い出した夢主の体は熱を増し、縁を咥えた蜜壁が収縮して吸い付いた。
体の変化を飲み込めず、潤んだ瞳を泳がせる夢主が可愛くて仕方がない。縁は悪戯をもう少しと、陰核に触れた。

「ヒぁアアンッ!」

「声、凄い」

「ンンッ、だって、ふァッ」

大きな指で厭らしく膨らんだ陰核を擦りながら、縁は律動を再開した。
夢主は強すぎる快楽に耐えられず、外まで響く声を上げそうになり、咄嗟にベッドに落ちていた縁の上着を咥えた。脱ぎ捨てられた上着だ。

「オイ」

こうしないと恥ずかしい声を響かせてしまう。夢主は服を咥えた口から息を漏らして首を振った。

「んふっ……」

自らの服を咥えて、取らないでと訴える夢主が妙に艶めかしい。

「もうしないヨ」

縁は夢主から服を取り戻そうと、悪戯を詫びた。お願いだから意地にならないで。服を噛む力を弱める為に夢主の口内に親指を押し込むと、夢主は抵抗しなかった。上着を離した唇の端からは一筋の涎が垂れて、縁の目を引き付けた。そっと拭った後に口づけをして、上着はベッドの下に投げ捨てた。

「声が聞きたいんダ」

冷静に低い声で言うと、縁は優しく夢主の自由を奪っていった。
夢主の手を掴み、動きを制するが如くベッドに押し付ける。口を塞ぐ術を失った夢主は、重く突き上げられるたび、怒張した雁首に抉られるたびに、甘く濡れた声を響かせた。

やがて夢主が力を失うほど悦楽に深く染まり、察した縁は抑える手を離した。
手を動かすどころか目も開けられないのか、されるがままに縁を感じている。

「夢主っ、もう……」

夢主が限界だが、俺もそろそろ限界だ。縁は最後とばかりに夢主の腿を持ち上げて腰を浮かせ、夢主の全てを感じようと一番深いところまで強く穿った。

「ぁアっ、えにっ……ぁンっ、ぁンッ!えにし……ぁっ、ンンっ、ぇにし……」

鈍く重い刺激が体の奥に響き全身に駆け巡っていく。夢主は途切れそうな息で縁の名を繰り返した。脱力していた夢主の体は足の指の先まで強張っていた。

「えにぃ……っ、ぁ……ぁぁああっ、ァあっっ……!!」

「っく……」

縁が熱を解き放ち、最後だぞと幾度か強く穿って名残までも放ち切ると、夢主の手足は力なくベッドの上に落ちた。ぴくぴくと小さなけいれんを繰り返している。
縁の肩も大きく揺れていた。荒い息を何度か繰り返した後、夢主の上に体を横たえた。
熱い肌が張り付くように重なり、縁の重みを感じて夢主は目を開いた。顔を隠すように縁は夢主を抱え込んでいる。

「えに、し……ふぁ……はぁ……」

「っ、夢主……」

好きだよ、大好きだ。
縁はくぐもった声で囁いて、苦しそうな呼吸を繰り返す夢主の頭を撫でた。

「私も……縁が……大好き……」

深く頷く縁の髪が、夢主の頬を擽った。柔らかくて白い髪。夢主が触れようとした時、縁は敷妙に顔を擦り付けるような動きを見せ、それから顔を上げた。

「夢主……」

何て言えばいいか分からないよ。縁は嬉しそうな淋しそうな顔を見せ、蕩けた瞳を湛える夢主に口づけた。
部屋に入って感じた白梅香の香りが変わっている。夢主の香りが混ざり、もう一つ、己の匂いが加わっている。照れくさい香りだ。だけど悪くない。縁はフッと密かに笑んだ。

「俺、ここにいる。お前のそばに」

「うん……」

「ずっと、だからナ」

「うん」

強い眼差しで夢主を見つめる縁だが、頬がどこか緩んでいる。夢主は柔らかな微笑みを見せて、縁の顔を引き寄せた。

「ふふっ」

「お前ナ」

口づけを受けて驚く縁に、夢主は笑い声を聞かせた。
目が覚める優しい笑顔。縁は、もう一度手にした守りたい存在を愛おしく抱きしめた。力強く、存在を確かめるように強く抱きしめた。

窓は相変わらず白く曇って何も見えないが、外では初雪が薄らと積もっていた。
白い景色は少しずつ、優しい想い出に変わろうとしていた。
 
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