斎藤一明治夢物語 妻奉公

□2.新枕(にいまくら)※R18
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「はじめさんの・・・めが、すきです・・・っあん・・・」

「煽るな・・・阿呆・・・ぅ」

おもむろに口を開いて出た言葉に、斎藤の熱が昂ぶり夢主の中でより膨らんだ。
より大きくなった刺激に、斎藤の手を握り返す小さな手がふるふると震えていた。

・・・すきなものは・・・すき・・・

薄明かりの中でギラリと滾る黄金色の瞳に語りかけるが、動き始めた斎藤の熱に、気付けば固く瞼を閉じていた。

「はっ・・・ぁっ・・・っあ・・・っあ、んんんっ・・・んっ・・・」

・・・大丈夫か、夢主・・・怯えては、いまいか・・・

ゆっくりと動き始めた斎藤は、小さな変化を見逃すまいと上気したその顔を見て離さなかった。

「あっ・・・はんっ・・・ぁん・・・ぁあっ・・・」

・・・フッ・・・大丈夫・・・だな・・・

己の動きに合わせ声を漏らす姿が嬉しくて、つい動きを強めたくなるのを堪えた。
少しずつ慣らしてやろうと握った手の変化と、悦楽に染まっていく表情を逃さず捉えている。

・・・こいつ・・・いい顔を・・・するっ・・・

「んっ・・・っあ・・・ぁあっ・・・」

・・・すっかり、受け入れて・・・やがる・・・

「夢主・・・」

「はじ・・・め・・・さん・・・」

名を呼び、そっと唇を落とした。

「もう大丈夫だ、お前は何も・・・恐れなくていい・・・」

「はっ・・・はぃ・・・」

斎藤はほんのり笑んで、己の下で全てを委ねてくれた夢主の姿を愛おしげに見つめ、徐々に動きを強めていった。
強く速くなる動きに漏れ出る声は止まらず、間隔がなくなっていく。

「っあ・・・ぁあっ・・・っあ・・・はぁっ・・・んふっ・・・」

いつもの愛らしく優しい声が甘く艶やかに響き、斎藤の中で絡みつくようにねっとりと広がる。

・・・あぁ、夢主・・・

激しくなった動きに合わせ、白い胸の膨らみが大きく揺れる。
美しく整った髪も今は乱れ切って広がっている。
目を落とすと夢主と繋がった己が確認出来た。


・・・やっと、ひとつに・・・お前を・・・お前の全てを、愛でることが・・・出来る・・・


守りたくて守れずに、触れたくて触れられずに、幾度も泣かせて迷わせた。
それでも自分を信じて傍にいてくれた。どこへ行こうとも帰りを待ってくれた。
どれだけ突き放そうとも、微笑み掛けてくれた。


俺の全てを、受け入れてくれた。


・・・もう、迷わせはしない・・・離さん・・・もう、離しは・・・しない・・・


淫らで婀娜やかで美しい・・・夢主の姿態を目に焼きつけ、斎藤も目を閉じた。


・・・俺もお前を受け入れる、全てを・・・

「ぁんっ、んんっ、ぁあっ、ぁあっ・・・ぁああっ・・・」


・・・全てを守る・・・だから、お前の・・・全てを・・・


「ぁああっ、あぁんんっ、はじめっ・・・さん・・・はぁあっ・・・ぁあっ、んんっ、んふっ・・・んっ・・・」

限界がやって来た夢主は体を仰け反らせ、突き抜けそうな熱く滾った感覚の行方を斎藤に託した。

「ぁああっ、はじめっ、さんんっ、ぁああんっっ」

「夢主・・・っく・・・」

・・・これで、しまいにっ・・・

苦しげに名を呼ばれ、斎藤の昂ぶりを感じた夢主は目を閉じたまま小さく頷いた。

「くっ・・・ふぅっ・・・」

ありったけの想いを夢主の中に解き放った斎藤は、声を漏らしながら更に何度か動いて己の全てを夢主の中に出した。

「ぁん・・・っはぁ・・・っはぁ・・・はぁ・・・」

恍惚とした息を吐いて横たわる夢主に、斎藤はそっと口を重ねた。
目を閉じた夢主は斎藤の背に手を回し、まだ離れないでとせがむように抱きしめた。
ぴくぴくと痙攣が止まらない夢主の体に、ずしりと斎藤の大きな体が圧し掛かる。

・・・はじめさんの・・・重み・・・体が、すごく・・・あつい・・・はじめさんが、あつい・・・

斎藤は夢主がうっとりと目を閉じ、寄せた己の顔に荒れた息を吹きかけ続けるのを愉しんでいた。

「フッ、もう少しこのまま・・・か」

「はぃ・・・もぅすこし・・・このまま・・・で・・・」

「いいだろう」

二人は繋がったまま暫く体を重ねた。
重なった二つの体はひとつの影として、月明かりに美しく照らされた。

斎藤の体に回された夢主の手がするりと落ちるまで、二人は互いの熱を重ねていた。
 
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