斎藤一明治夢物語 妻奉公
□55.憤りの続き※R18
8ページ/8ページ
止まることなく柔襞を突き続ける。
だらりと崩れそうな夢主の体を大きな手で固定して、斎藤は抜いては挿しを繰り返した。
「ぁっ、ぃやっ、んんっ、んんっ」
夢主の快楽の状況に構うことなく欲をぶつける斎藤は己の絶頂で解き放つ全てに集中していた。
既に一度果てた女の体は簡単に何度も果ててしまう。
夢主の蜜壺は何度も斎藤を締め付けて痙攣した。
斎藤は吸い付く刺激を感じながら淫らに壊れていく自分の女を見下ろしていた。
幾度と達する姿に至極満悦していると気付く。己の中の支配欲を感じていた。
誰しも多少なりと黒い感情があるのは承知している。それでも自己を抑える自信があった。
幾重にも心を包む妬みの苛立ちが制御を壊してしまったのか。
今、夢主を犯しているのはどこかの男では無く己自身だった。
「ぁああっ、もっ、ぅう・・・ひぁっ・・・」
与えられ過ぎた快感で夢主は完全に力を失っていた。
だらしなく開いた口から溢れた涎が床を濡らし、最奥を突かれるたびに滲む涙もやがて床を濡らし始めた。
「ゃぁ、ぁっ、ぁ・・・っ・・・」
「いくぞ」
「っ、ひぁあんんっ」
これ以上強い刺激はないと繰り返される挿入に身を委ねていたが、掴まれた手に力が入り、体の中を抉られるよう深く強く最後の一突きをされた。
最奥部でグンと突かれて何かを植え付けられる感覚に気を失いそうだった。
「ぁあ・・・あ・・・」
温かいものが子宮に広がる。
体内に広がる優しい熱で斎藤が己を放ったと知った。
「・・・ひぁ・・・」
全てを胎内に残すべく念押しのような突き上げが数度あり、先端を押し付けじっとり掻き回される。熱く硬い感触が最後の悦びを与えた。
「っく・・・」
黙って偎物を引き抜く斎藤、夢主は膣を通るまだ硬いそれを感じていた。
同時にぬるい白濁が流れ出るのも分かる。
斎藤の手が離れると夢主の持ち上がっていた腰が力なく砕けた。
低くなった股からは注がれた白濁がねっとりこぼれる。
惚けた夢主の耳に再び金属音が届いた。
「どこ・・・へ・・・」
「阿呆、仕事だよ」
「しご・・・と」
「今この町で幾つ事件が起きているか知っているか。お前の記憶だけでも一つ二つじゃないだろう」
斎藤は既に制服を整えて刀を装着している。
「それは・・・」
「捨て置けん事件と抜刀斎の件で忙しい。ここで寝るなよ」
「はい・・・ぁの・・・」
体を背けようとした斎藤は呼び止められたと感じ小さく振り向いた。
床の上、夢主が少しも変わらぬ姿で悩ましい呼吸を繰り返している。
「忙しいのに・・・帰ってくれたんですね・・・ありがとう・・・ございます・・・」
「昼間のあれでお前を怒らせたと思って戻ったんだ」
「それにしては・・・」
「一晩中されたかったか、すまんな。後始末もしてやれん。謝っておく」
「ち、ちが・・・もぉ一晩中だなんて・・・もっと怒らせたって言いたいんです」
「もう怒ってないだろ」
いや、怒って当然だ。
酷い事をした認識はある。散々好き勝手抱いた夫が身を清める手も貸さず出て行こうとしている。
夢主はそれを止めようともせず、快楽で惚けた顔は優しげだ。
斎藤は靴を履いたまま床に膝を乗せた。
未だ蕩ける顔を確認する。
「それにしても顔色が悪いぞ。本当に疲れているんじゃないか。赤べこへ行く回数を減らせ」
「え・・・人手が足りないくらいなんですよ・・・」
手袋を外し額と首に触れてみるが、熱の籠った手では熱があるか否か判じられない。
だがすぐに分かるほどの高熱は無いということだ。
少々乱雑に抱き過ぎたせいもあるかもしれない。
しかし斎藤は自分の仕打ちを棚に上げて言い付けた。
「減らせ。お前の顔色が戻ったら仕事も戻せばいい」
夢主は自分の顔に触れてみた。
異常は感じられない。こんな状況では分かりようもないが、物事の観察に長けた夫が言うのだから風邪の前兆かもしれない。
「そういえば最近食が細いかも・・・そのせいかな」
「ほらみろ、自覚があるなら猶更だ。働き過ぎて食欲が減ってるんじゃないか、しっかり食えよ」
食事で怒られ「うん」と頷くさまは子供のようだ。
厭らしく乱れた姿で愛らしく頷く姿におさまりかけた欲望が疼きそうになる。
さすがにこれ以上の無理は強いられない。罪悪感が芽生えていた。
斎藤は細い肩を隠すよう肌蹴た夢主の着物を引き上げてやった。
「朝まで居てやれず、すまんな」
斎藤は優しく顔に触れて出て行った。
夢主は鍵が締まる音を聞き届け一人になった自分を自覚した。
普段と違う一方的な行為だったが、いつになく悦楽を味わってしまった。
自分には卑しい趣味でもあるのだろうか・・・鎮まりかけた体が再び熱くなる。
虚ろな意識ながらも自らの事後の厭らしい姿に頬が熱くなる。
体を弄ばれそのまま捨てられたように横たわっている。
斎藤にそんなつもりが無いのは分かるが、後ろから犯されている気がしていた。それでいて感じてしまったのだ。
「恥ずかしい・・・」
・・・一さんには言えない・・・
ぴくぴくと痙攣が治まらない秘部にそっと触れてみると、斎藤の名残がぬるりと纏わりついた。
・・・気持ちいい・・・
滑りに誘われるよう指を動かして、いつしか硬く目を閉じていた。
上気した顔が一段と赤くなり、玄関に小さな水音と甘い声が充満する。
「んふっ・・・ぅあ」
一人になった空間で夢主は再び身震いを起こした。