まかない飯
□幕】水浸し部屋の後始末
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赤らんだ顔を隠して沖田が部屋を出て行った。
沖田を見送った後、己の姿態の厭らしさに気が付いた。
雨にしっとりと濡れた衣はひたりと肌に纏まり付き、胸の膨らみはもちろん、その先にある突起までも明らかに晒していた。
思わず両手で体を隠し、部屋に残る斎藤に背を向ける。
・・・恥ずかしい・・・こんな格好でいたなんて・・・斎藤さんに・・・
出て行く沖田の様子からして斎藤だけではなく沖田にも見られてしまっただろう。
恥ずかしさで体の芯に何かわからない熱がこみ上げてきた。
「おい、これで体を拭け」
夢主は衝立の向こうから斎藤が投げてくれた手拭いを拾い上げた。
斎藤はそ知らぬふりをして、濡れた姿で手拭いを拾い上げるその所作を余す事なく見ていた。
屈むと胸が畳に引かれるように、ふるるんと小さく揺れる。
突起の先からは雨の雫がポタリポタリと、ゆっくりと数滴垂れては畳を濡らしていた。
そそるな・・・斎藤は思った。
「あの・・・お部屋濡らしちゃってごめんなさぃ」
夢主は少し泣き声だ。背けている顔が真っ赤に染まっているのがわかる。
きっと恥ずかしさと申し訳なさからなのだろう。夢主とはそういう女だ・・・。
「構わんさ。後始末は・・・頼むがな」
・・・
夢主が斎藤に背を向けたまま着替えを始めようとしている。
「待て・・・」
ふいに声をかけた。
自分は手早く羽織を脱ぎ、指示されて着込んでいた鎖帷子を脱ごうと手を掛けた。
夢主は呼び止められ不思議そうに振り返ったが、鎖帷子を見てこちらに興味を持ったようだ。
「わ・・・斎藤さん凄いです・・・そんな重そうなものを着てたんですね・・・」
前に濡れた金属独特の臭いが立ち籠めた。
「フン、上からの指示だ。幹部はみなこれをつけての出陣だったのさ・・・鉄砲があるから仕方が無いが、全く動きにくくていかん」
「ふふ、それは大変でしたね」
口元に手をあて笑ったので、濡れた乳房が丸見えになってしまった。
「ぁっ・・・ごめんなさっ・・・早く着替えてお部屋の後始末を・・・」
斎藤に言われたとおり、自分で綺麗に片付ける気でいた。
「いや、それは構わんさ」
「ぇ・・・」
夢主は顔だけで少し振り向くと、先程まで離れて立っていた斎藤がすぐ後ろに立っていた。
「ひゃっ・・・」
「そんなに驚くな・・・」
「だ、だって・・・」
こんな恥ずかしい姿でいるのに全部見える至近距離に来るなんてと、夢主は戸惑っているようだ。
斎藤に背を向け、必死に体を丸めて小さくなり隠そうとしている。
「後始末というのは・・・こっちだな」
そう言うと斎藤は夢主の背にぴたりと張り付いた。