まかない飯

幕】師匠の思い出話に彩られ
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「『一人だんだらを羽織り、地図に従い来られたし・・・夢主がお前を待っている』・・・・・・ふざけた真似を」

斎藤は比古から届けられた手紙を握りつぶして懐にしまうと、目の前の不逞浪士を斬り捨てた。
既に斎藤の周りには幾人かの男達が命を断たれ転がっている。
今、斬り捨てた男が最後の浪士だった。

「何のつもりだ、新津め」

新選組の象徴であるだんだら羽織を着て一人出歩くなど、腕に覚えがある幹部の斎藤にとっても危険な行為だ。
その危険な行為を要求する意図は何なのか、従わなくとも構わないのか、従わない時はどうなるのか。
天秤にかけると斎藤は従わざるを得なかった。

一方、斎藤に手紙を送りつける以前、比古の山小屋ではちょっとした悪戯が行われていた。
比古からしてみれば他愛のない悪ふざけ、そのつもりだったがいつしか悪ふざけから一線を越えようとしていた。

「お前、俺の昔話を聞きたいんだろう」

「はぃ。でも・・・」

「いいから、言う通りにしろ、俺の前に座るだけで構わねぇ。安心しろ、指一本触れる気は無い」

「・・・はぃ・・・」

燃え盛る窯の前、大きな丸太に腰掛ける二人。
比古は昔の話を聞かせてやる代わりに、自分の前に座れと指示した。
大きな比古の体の前、夢主が座ればその背中をすっぽりと比古が覆う程の体格差。

「これでいいでしょうか・・・・・・」

まるで比古の体が椅子の背凭れのように大きく後に存在している。
夢主が顔を後ろに向けると、思いのほかすぐそばに比古の顔があり、慌てて前を向いた。

「いいな、くっついていると温かい。人の温もりだ・・・それにな、知っているか。人には様々な感覚があるだろう」

「はい、感覚・・・五感・・・」

「そうだ。お前は外からの刺激に弱いようだな。視覚、触覚、それに、・・・・・・聴覚」

後から耳元に囁かれたた比古の声に夢主はビクリと体を弾ませた。

「ほらな、声だけでこれほどに。面白い。このまま俺の昔の話を聞かせてやる」

夢主が強張らせた体で小さく頷くと、比古は昔語りを始めた。
淡く甘い話を期待していた夢主は見事に裏切られ、比古が愛した女との交わりの全てを事細かに聞かされる事となる。

それは一夜では終わらず、話が始まると比古が語り疲れ良しと言うまで続き、それが毎夜繰り返され、夢主は逃れる事ができなかった。
毎晩同じように比古の前に座らされ、体を触れられるでもなく夢主は比古の艶やかな声で語られる情欲的な話に耳を奪われていた。

「苦しそうだな。触れてやろうか」

「い・・・いぃえっ、そんな事・・・苦しくなんか、ありません・・・」

首筋に話しかける比古に体を震わせながら、夢主は声を絞り出し必死に断る。

「そうか、ならば俺は指一本触れるわけにはいかないからな。さぁ、続きだ。俺の女は俺が触れるたびに好い声を聞かせてくれた。聞くだけでゾクゾクと昂ぶらせてくれる、甲高い艶やかな喘ぎ声だ。その声を出す甘い唇を存分に味わって、そのまま指を滑らせながら俺は口も指も共に下ろして行く。・・・・・・すぐに辿り着くのがどこだか分かるか」

小さく首を振る夢主を比古は後から笑い首筋に温かい息を掛けた。

「お前だってそれくらい分かるだろう、そう、胸の頂だ。両の手で優しく触れていくとあいつはよがって足を広げやがる。
普段は大人しいくせに俺に触れられると途端に厭らしい女に変わるんだ、男冥利に尽きるってもんさ。
そのまま両手で二つの突起を愛撫してやりたい所だが、口にも含みたい。
あぁ、どうするか・・・・・・
俺は片手をそっと腹に沿って更に下ろして行くのさ・・・そっと・・・触れ、口に含んだ小さな突起を転がしながら、片手で同じように弄ってやる。
そしてもう片方の手が足の付け根に届く頃には・・・・・・
厭らしい液で溢れ、だらしのない・・・・・・
そう、今のお前みたいだ・・・・・・」

「そっ・・・そんな、私は・・・」

「隠すな・・・」
 
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