まかない飯

明】焼けた肌、焦れる想い
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普段と変わらぬ志々雄真実の隣で、夢主は落ちた袖を引き上げた。
肌に咲いた紅い痕は見えなくなる。内臓に残る熱もすぐに消えるだろう。

夢主と志々雄が初めてこんな関係を持った日は、そう遠くない。

ある日、長い移動に疲れた由美が早々に眠ってしまった。
志々雄の世話をする者がいなくなり、包帯の交換を手伝った。
久しぶりの、一緒に旅を始めた頃は夢主のものだった仕事。
先に仕えていた瀬田宗次郎から受け継いだ仕事だ。

幼かった夢主が二人に出会ったのは家が夜盗に襲われた夜。
一家皆殺しにされる惨劇の中、何故か夢主だけが連れ出された。
恐怖も憎しみも分からなくなり、暗闇の中で笑いながら涙を流していた娘は、志々雄と宗次郎の旅に加わった。

志々雄の身の回りの世話を言い付かり、手が空いた宗次郎が方々を走り回るようになった。
それから幾年か、取り巻く組織ができ、いつしか一団に吉原一の花魁・駒形由美が加わった。
志々雄の身の回りの世話は由美に託され、夢主は淋しさを隠して日々を過ごしていた。

信頼する者にしか任せない包帯の交換。
久しぶりに盟主の体に触れる事態に戸惑うが、体は処置を覚えており、手が勝手に動いてくれる。

古い包帯を剥いで見える乾いた肌、人より熱い体。
怖いと思ったのは最初だけ。剣を振るう体は引き締まり、今まで見た誰よりも逞しく、直ぐに夢主を惹きつけた。
弱肉強食の理を飲み込んでからは二人の行動に理不尽は感じず、優しいとさえ感じていた。

「志々雄さん、血が」

闘いで血を流す姿は見た覚えが無い。
血を見るのはこんな時。一度焼けた唇は轢きつれて、ふとした拍子に血が滲む。
拭き取れば良いものを、この時夢主は口を寄せて舐めていた。

「何しやがる」

「ぁ・・・」

どうしてそうしたのか分からない、そんな顔で夢主は我に返った。
こんな事をして怒られる、斬られてしまう。
そう思った次には、志々雄に組み敷かれていた。

「志々雄・・・・・・さん」

ずっと思っていた。
成長するにつれて感じ始めた。
この人の特別な人になりたい。
この人に触れたい、触れて欲しい。

「しっ、志々雄さん、あの、ごめんなさい」

「あの時と同じだな」

「え・・・」

夢主にはいつのことか分からなかった。
志々雄が思い出したのは出会った夜のこと。
刃を向けられて、嬉しそうだった幼子。

「嬉しそうな顔しやがって、いいさ。お前は俺の一番のお気に入りだからな」

「一番の・・・お気に入り・・・っん」

・・・・・・お気に入りってどういうことですか、一番はあの方なのに・・・・・・

訊ねる間もなく、唇を奪われた。

知っていたけれど、他より高い体温。
唇が少し、熱い。
舌はもっと、熱かった。

「んっ、しし・・・ぉさ・・・」

夢主の水分を奪うように乾いた唇が襲い、熱い舌が口内を犯していく。
知らなかった、志々雄さんがこんなに熱いなんて、熱くて乱暴で、それでいて・・・・・・
久しく感じていなかった感覚が目尻に生じる。

――私、泣いてるの・・・・・・

濡れた感覚は広がり、目の前が揺れて見える。

乱暴だけど優しい、不思議なお方。
そうか、激しいって言うのかもしれない、激しく私を喰むみたいに、これが・・・口づけ・・・・・・

視線に気付いた志々雄と目が合い、体の芯を貫かれるような感覚を味わった。
包帯に囲まれた目はとても厳しくて、美しくて、瞳の色は貴方を焼いた炎のようで。

「ししぉさ・・・」

「何もかも初めてだな、安心しろ、まずは軽く果てるといい」

「ぇ・・・あ、待ってください志々雄さん!ぁんっ、駄目です、だめ・・・・・・」

事態を把握する前に志々雄の手が裾を割って入り込み、夢主の花芽に触れた。

「んぁあっ」

指先が強い刺激を与え、夢主は堪らず声を荒げた。
止まる間もなく激しい動きが繰り返され、小さな粒を嬲っていた手が秘唇に触れた。
零れる透明な粘液で濡れた指が秘部と陰核を行き来する。夢主は固く目を閉じた。

「っんんっ、ししぉさ・・・ぁあんんっ、ぁっ」

替えたばかりの包帯が汚れちゃいます、そんなことを考える余裕は一瞬で消え、陰部を動く手に支配されてしまった。

「ひぁあっ・・・気が、とんじゃぃ・・・ますっ、ししおさぁっ、ぁあ・・・」

「言っただろ、いいからイけよ」

「んふっ、ぁあ・・・ぁん、んんっ・・・」

抗っていた体が止まり、意思に反して愛液が噴き出た。
女の体にこんな反応が起こるのを知らなかった。
自分から出たものが志々雄を汚してしまった。涙を浮かべて夢主は火照った唇を動かした。

「ごめん・・・なさい・・・ししおさん」

「馬鹿が」

「んんっ」

「謝るな」

「ぁふ・・・んっ」

「今度は俺の番だ、熱いぞ」

短い口づけを受けて、あっという間に体を動かされる。
遠慮気味だった脚は大きく開かれ、すっかり濡れた陰部が晒された。

「ぁ・・・」

刺さる視線に体が硬直する。
自らの股を伝う蜜を感じた。

「フッ、充分だな」

そう言って志々雄が曝け出した男根に夢主は息を呑んだ。
知ってはいた。
男は女を欲し、股の間に逸物をぶち込んで愉しむのさ、大人達の話を聞いたことがある。
自らのものを差しだして咥えろと言ってきた男もいた。その男はその場で殺されたが、何を求められたかは分かっていた。
 
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