†テイルズ短編夢†
□2月14日
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そしてバレンタイン当日
(ベルベット達にはアイゼンさんだけにって言ったけど…せめて、仲間内だけでもあげていいよね…)
お菓子を入れた紙袋を両手に、一人で悶々と考えを馳せているとライフィセットが歩いて来た
「あ、ハヤテおはよう」
「おはよう、ライフィセット」
「凄い荷物だね…何か入ってるの?」
「えっとね…はい、ライフィセット。いつもありがとう」
いきなりの事でキョトンとしているライフィセット
そこへエレノアがやってきた
「あ!居ました!ライフィセットー!!」
「え、あ、エレノア?どうしたの?」
「こちらを…いつもありがとうございます。感謝の気持ちです」
「え?ハヤテもエレノアもいきなりどうしたの?」
「今日は親しい人に感謝を伝える日なんだよ」
「はい。ですから、ライフィセットに…それから、これはハヤテへです」
「あ!じゃあ、あたしも…はい!エレノア。いつもありがとう」
「いいえ、こちらこそありがとうございます」
そんな二人のやり取りを見ていたライフィセットが
「僕…何も用意してないな…」
しゅんっと癖毛が項垂れているとエレノアがすかさずフォローに入った
「安心してください、ライフィセット。次の月の同じ日にお返しをすると言う仕来たりがあるんです。ですから、今日貰った人にお返しをする…そうすればお互い感謝し合った事になります」
それを聞いた途端ライフィセットは花が咲いたような笑顔をしていた
「そっか!じゃあ、来月ハヤテとエレノアにお返しするね!……あ、でも何をあげたらいいんだろう?」
ライフィセットがうんうん悩んでいる姿を見てハヤテとエレノアは笑いながら
「ライフィセットの気持ちだけで大丈夫だよ」
「ええ。形に拘る必要はありません」
「二人とも…うん!そうだね、ありがとう!来月、楽しみにしててね!」
そう言い残しライフィセットは走り去って行った
「……さてと、ハヤテ、アイゼンにはあげたんですか?」
「ううん、まだ。さっきから探してるんだけど見付からなくて」
朝からアイゼンを探しているが中々見付からなくて現在に至っていた
今日チョコレートを渡せたのはマギルゥ、ベンウィック、モアナ、ベルベット、ライフィセットとエレノアだった
「と言うことはロクロウとアイゼンにはまだ会ってないんですね」
「うん……」
(何処に行ったんだろ…)
自問自答している二人に甲板で荷造りをしていたベンウィックが声を掛けてきた
「何だ、副長探してるのか?」
「あ、ベンウィック」
「何処に行ったのか知ってるんですか?」
「朝早くからロクロウの奴と街に買い出しに行ったよ。量が量だから男手が欲しかったんだと」
「ああ…だからこんなに木箱が多いんだね」
船の上は店でも開けそうなぐらいの食料やら心水やらが運ばれていた
「これから長い船旅になるしな。備えあれば何とかって言うだろ?」
「にしても多すぎなような気がしますが…」
「バカヤロウ!人数が増えたんだからこれぐらい普通だろ!」
この言葉に二人してそうでしたと言うしかなかった
「じゃあ、ちょっと街に行ってくるね」
「一人で平気ですか?」
「大丈夫だよ。二人を探しに行くだけだし」
「店に居なかったらどっかで飲んでるかもな」
取り合えずお店を探してみて居なかったら宿屋に行ってみようかな…そう考え一人街に出向いていった