†テイルズ長編夢†
□一日目
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………チュン…チュチュン
「……ん」
窓の外から鳥の囀ずりが聞こえ、ハヤテは重たい瞼をゆっくりと開けた
「あたし……寝ちゃったんだ…っ!?」
目の前には見知らぬ金髪の男が眠っていて驚きに声を上げそうになった
(な!?なにっ!……あー………そうだ。昨日道端で倒れてたアイゼンさんを拾って、この世界の事を説明した後疲れて寝ちゃったんだ…)
一人昨日の事を思い出す状況を把握したハヤテは今の現状に納得した
「にしても……流石にコタツで寝ると体が痛いな…いったたた…」
二人はコタツを挟んで向かい合わせに眠っていた
目の前で眠っているアイゼンは未だに起きる気配はない
「……本当にこの世界の人じゃないのかなぁ…って言うか、非現実的過ぎる!」
昨日の話が納得出来ない彼女はアイゼンから聞いた事を思い返していた
…………………
…………
「先に言っておくが、俺はこの世界の人間ではないかもしれん」
「…………は?」
あまりにも唐突に、あまりにも変な事を言ったアイゼンにハヤテは目を丸くするしかなかった
「えーっと…病院、明日行きます?」
「頭はイカれてねぇ。寧ろ、そう考えなければ辻褄が合わねぇ」
何故自分の話を聞いてその答えにたどり着くと不思議に思ったハヤテだが、敢えて言葉にせず彼の放つ言葉に耳を向けた
「此処には俺の知らねぇもんが多すぎる。その上業魔もいなけりゃ聖隷もいねぇ。この世界の常識をお前から聞いたが……俺の世界ではありえない考えだ。寧ろ、そんな理があったら今頃人間は滅亡してるな」
そう言った彼の目は嘘をついてるようには見えなかった
けど、やはり素直に聞き入れられるような事でもない
「いや、その…って事はアイゼンさんは異世界からこの世界に来たって事ですか?」
「そうなるな」
「…………ぷ、あはははは!」
いきなり笑いだしたハヤテにアイゼンは少しばかり気を取られたものの、すぐに鋭い目付きで睨み付けた
「ご、ごめんなさい…っ!でも、ふ…はは!異世界からって、信憑性なさすぎっ!」
「…俺だってそう思ってるが、そうでもしねぇと話が噛み合わないだろ」
「いやいや、もっと普通に考えて見ましょうよ?例えば……ヤクザに襲われて記憶が飛んだとか?」
「ヤクザってのが何かは知らんが、仮に襲われたとしてもやられねぇな」
「ふむ……じゃあ、病院から抜け出して頭がおかしくなっちゃってる人だったとか?」
「てめぇ…女だからって容赦しねぇぞ…?」
そう言うとアイゼンは手の骨をボキボキならしてハヤテの頭に手を近付けて来た
「じょ、冗談ですよ!もぅ…じゃあ、仮にその話が本当だったとします!アイゼンさんはこれからどうするんですか?」
本当の本題はここからだった