†テイルズ長編夢†

□一日目
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「…悪いが、此処に暫く住まわせてくれないか?」

…………理解するのに数分掛かった

「はぁっ!?ちょ、な、何言ってくれやがりますか!?」

「お前、言葉変だぞ」

「そんなのはどうでもいいんです!お、女の家に見ず知らずの男が住まうとか!?駄目です!ぜぇぇえ……………ったい!駄目です!」

「別にお前みたいなガキに手は出さねぇよ」

「そ、そういう問題じゃ……って言うか、今の失礼じゃないですか!?」

「その方が安心出来るだろ」

「いやいや!出来ません!」

ギャーギャーと夜中なのに気にせず騒ぎ立てる二人
小一時間騒ぎ立て続けたが、肝心な結論が出ないまま言い合いに疲れ果ててお互いコタツの中で眠ってしまった



………………………
…………



「はぁ……本当、どうすればいいのぉ」

テーブルの上に項垂れながら頭を抱え込みながら未だ眠るアイゼンを見た

「………アイゼンさん、夢の中の人にそっくりなんだよな…」

そこでふと、夢の事を思い出す

(…黄色の髪に……白い肌…青い瞳…)

彼女の手は自然と目の前にあるアイゼンの髪へと伸びていた

(…意外とサラサラ……あ、枝毛…)

微笑を作りながらアイゼンの髪を触っていると、いきなり大きな手に拒まれた

「……人が眠ってるときに頭なんか触ってんじゃねぇ…」

寝起きならではなのか、いつもの倍の目付きの悪さでハヤテを睨み付けてきた

「す、すいません…ただ、ちょっと触りたいなぁって思って……アイゼンさんの髪…凄く綺麗だから」

その言葉を聞いたアイゼンは寝惚けながらの目でも驚きを表していた

「……男に綺麗はねぇだろ」

「けど、本当にそう思ったから…」

そう続けて言うと、少し照れたようにして顔を背けた

「で、お前さんは俺を住まわしてくれるのか」

「それは………」

(昨日はあんなに反対したのに…何故か今は反対出来ない…)

彼女の中にある夢の男…それがアイゼンかもしれない
昨日は夢の事を忘れていた為、断固として拒否が出来ていた
しかし、思い出してしまった今…それが出来ない

「……仮に住まうとしてもいつまでですか?」

「さぁな…どうやって戻れるかも検討がつかねぇ」

「……ですよね」

二人の間に沈黙が流れた

「…………………………いいですよ」

ポソリと、そう彼女は呟いた

「…いいのか?」

「はい。よくよく考えてみたら、このまま居なくなられても気になってしかたないですから!」

少し赤みの掛かった頬を見て、照れ隠しとは正にこの事だとアイゼンは思いその口元に笑みを浮かべた

「助かる…悪いが世話になる」

「その代わり、条件があります!」

ハヤテは人指し指をビシッと立ててアイゼンに突き立てる

「…何でも言ってくれ」

(家事や掃除程度なら何とかなるとは思うが…)

彼女が出した条件……それは

「働いてください!」
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