ジョジョ

□1章 ジョジョ
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季節の概念が曖昧なこの土地でも冬というものは訪れるもので、寒さが身に染みる今日この頃

もう1月となり、そして私も晴れて4才になり歩けるようになった

4才になってやっと色々分かったことがあった
まず、ここがイギリスだということにも驚きなのに、100年以上前の時代だということだ
幸い両親二人とも日本人とイギリス人のハーフということで、私には日本人の血が色濃くでた
幸か不幸か、目も髪も真っ黒だ
だから前世と容姿などは全く同じだという事

そして、最も驚くべき事は私に悪霊がとりついてるということだ
初めて見たときは驚いた、いや泣いた・・・
しかし、あれは誰が見たって泣くだろう

よく見たら天女のような姿だから怖さはあまりない・・
害がないなら、まぁいっかとほっておいたのだが、ある日その天女に思いもよらない能力を隠し持っていた事が発覚した




その能力はつい最近、両親が経営している病院で発見した





「名前ー、今日もここでおとなしくしててね」

「うん、わかった〜」

病院の憩いの場で、いつも私は両親が仕事をしている間はそこにいて、患者さんとお話しをしたりしている

「あら、今日も名前ちゃんがいるのねー、おねえさん嬉しいわ〜」

そう言って、頭を撫でてくれるのは、ここに入院しているお姉さんだ
いつも色んなお話をしてくれる

この国の事や歴史、架空の物語……その為、私の知識は自然と増えていった

「おねえさん!もっとお話聞かせて!」

私は子供らしくお姉さんの膝に飛び付いた

「いーわよ、それじゃあこんなお話知ってるかしら・・ッゴホ…ゴホッ」

いきなり咳の発作がでたらしく、おねえさんは苦しそうに胸をおさえている

今の時代、子供を産むのも命懸けである

ましてや、妊婦さんにとって風邪は一大事だ
何せ子供にまで影響がでてしまう恐れがあるからだ

「大丈夫?!」

背中をさするが、いっこうに良くならない
周りを見渡してもタイミングが悪く、誰もいない

誰かを呼びに行こうと立ち上がったが、お姉さんが無意識に私の腕をつかんでおり走り出すことは出来なかった

「だ、大丈夫よ…ゲホッ、ゲホッ」

私を安心させようと笑みを作ろうとしているが咳はとまってくれない

自分にはどうすることも出来ない苦しみに私の目から涙がポロポロと流れ落ちる

すると、私の後ろにいきなり、あの天女のようなお化けがあらわれた

そして、その人が私に力を与えたのかわからないが、私と天女が光を発し始めた

何が起きたのかわからなかったが、私は自分の光ってる手をおねえさんの背中に触れてみた

「…………あら、急に咳が止まったわ?!な、なんでかしら」

おねえさんはケロリとした表情でキョロキョロしている
私は嬉しくなりお腹に気を付けながらおねえさんに抱きついた




それからというもの、この能力を活かさない手はないということで、このことを両親に打ち明けた
そして、毎日のように患者さんに触れて、その患者さんが感じてる苦しみや痛みを取り除いた

いつの間にか、あれよあれよと私は入院患者を癒す天使などと呼ばれるようになってしまって、遠方からもこの病院に足を運ぶ人が大勢いる

でも、間違ってはいけないのが治すわけではないということ
痛みや苦しみなどをとり除くだけだということだ

でも、患者さんにとってそれだけでも助かると口に出していた

今では患者さんの喜ぶ顔を見るのが生き甲斐と言えるほどにまでなった
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