コ/ナ/ン

□3章 DC
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時が経つのも早いものでもう既に、高校二年の夏休み…………いまだにバイトはしていない

様々なところでバイトをしていても、必ずと言っていいほどクビを言い渡されてしまう

飲食店でバイトをすれば、お盆を運ぶだけでお盆を壊してしまい、コンビニでバイトしていればレジを壊す始末

私は何が向いているのだろうか
前ほど悲観的ではないが、そろそろ自分にあったバイトをしたいというのが本音だ

夏休みだしせっかくだからバイトをしたい
ネットで多くのバイトを検索するも同じようなものばかりで私はため息がでる

「はぁ…………」

私はマウスでカチカチと慎重にカーソルを合わせる
気を抜くとマウスも壊してしまうから気を付けねば

「ん?体が丈夫な方大歓迎?
ちょうど夏休み期間中だしいいかもしれない」

私はさっそく、その家電で電話番号に電話を掛ける
因みに私は携帯電話をつい最近持ち始めたのだが、それは使えない

その理由は、母親からくれぐれも壊さないようにというお達しがでていたが、すぐに壊してしまったからだ

そして、壊れた携帯電話は机の上に放置してある

この携帯を買うためにも、今の私にはお金が必要なのだ

ありがたいことに、このバイトは五日間拘束されるが多額な報酬が待っている

少しばかり怪しいが、もし危険だと判断したら私の拳でなんとかするかと思いながら、呼び出し音を聞く


「はい、科学研究所です」

「あの、そちらでアルバイトをしたいのですが」

「五日間治験者となるバイトの方で宜しいでしょうか?」

「あ、はい
あの、因みにその治験者となった場合どのようなことをするのでしょうか?」

念のために電話で聞いておこうと思い質問してみる
答えてくれないかもしれないと思っていたが、すんなり答えてくれる

「少しサプリメントを飲んで頂き、適度な運動をして採血をして頂くだけですのでご安心ください」

「それなら、大丈夫です」

その程度ならば私でもできそうだ

「それでは明日からさっそく、今から申し上げる住所に来ていただいても宜しいでしょうか?」

私はその住所をひかえて、よろしくお願いしますと伝え電話をきった

「よしっ、これで携帯買える」

明日から五日間、丁度お母さんも帰ってこないと言っていたし、グットタイミングだ

私はさっそく五日間ぶんの下着と夏休みの宿題、暇潰し用の本を鞄に詰め込む
服などは貸してくれると言っていたから、鞄の中にいれるものはそこまで多くはない

こんなものかと思い、私は明日に備えて眠りについた







迷わずにたどり着いた研究所は、私の家からさほど離れておらず、徒歩でその研究所に到着した
それにしても、田舎だけあって周りは林だらけで家とかもなにもない
少しばかり怖気づいてしまいそうな自分を奮いただす


私は入り口らしき所にあるボタンを押す

「どうぞ」

何処かでカメラがあるのか、すんなり開いた扉に私はすぐさまはいる

「ようこそ、五日間宜しくね」

やさしげな表情で応対する女性に、私はさっきまでの恐怖は無くなっていた

そしてこの五日間での決まり事などの説明を受ける

ひとつ目は、この施設からでないこと
ふたつ目は、決められた食事を完食すること
みっつ目は、指示されたことは原則守ること

あと、他にもいろいろ言われたが、紙に全て書かれてあるということで、私はその注意事項に目を通す

「はい、それじゃあこの服に着替えてね」

「はい、わかりました」

渡された服は患者の服のようだった

「それと、貴女本当に体が丈夫なのよね?
見たところ、あまりそうは見えないのだけれど」

「あ、はい!こう見えて体だけは丈夫です」

確かに見た目は何処にでもいる女子高校生だから疑われても仕方ないか
私は女性が部屋からでたのを確認して患者服に着替える

部屋を見渡すとここも入院部屋のようだ
白を基調とした壁にベット、全てが白くて、くらくらする

まぁ慣れるかなと思いながら袖に腕を通していく
そして丁度身支度が整った頃に、女性がやってきて血液を採りますといい、注射器で私の血液をとる

前世の私は注射が怖かったが、もう慣れてしまい、そんなことは言わなくなった
でも、少し見るのは怖いためそっぽを向いていると、終わったようで針が抜かれる


「それでは、呼ばれるまでごゆっくり」

私はさっそく持ってきていた本を読み始める
沢山持ってきておいて良かったなと思いながら読書をする
そのあとは宿題にとりかかることにした


数時間後、さっそく呼ばれて違う部屋へと案内される
その案内されたところは、まるでスポーツテストでもするかのような器具が置いてある空間だった

平均台や、握力計など様々なものが置いてある
それとここを監視するように、透明なガラスからは多くの研究者らしき人達がこちらを覗いている

あまりいい気はしないが、これも仕事だと思い気持ちを割りきる

「まずは、反復横飛びをしてもらいます」

こうして私は一人だけのスポーツテストが始まった

でも、ほとんど私は運動音痴のため低い数値ばかりで悲しくなる

「最後に握力計です」

最後の計測は、もう体力もなく疲れてしまい頭がよく回っていなかった
だから私はその握力計をボーッとしながら握ってしまったのが悪かった

バキッという音とともにその握力計は壊れてしまった

「あっ、あー、ちょっと壊れかけていたのかもしれませんね〜」

私は右往左往しながら、そんな言い訳をベラベラと言うが信じてもらえていない

「貴女…………もう一回握力計を握ってもらえる?」

もうひとつあったのかと思いながら、今度は慎重にそれを握る
そこには少し握力があるくらいの数値がでている

よし、よくやった自分と褒めるのもつかの間

「あなた、本気でやってないわね?
本気でやってもらわないと此方としても困るのだけれど」

ばれてしまった
でも、本気でやったらまた壊れてしまうし…………

「まぁいいわ、次からはお願いね」

次があるのかと思いながら肩を落としながら自分の部屋に戻る

こうして一日目は過ぎていった







「名字さん、おはようございます」

そういって、朝御飯と何かお薬が置いてあるお盆を、私の目の前に差し出してくる

「全て完食したら、この薬を飲んでください」

「因みにこの薬はどのような効果が?」

「ただのサプリメントです」

この機械的なやりとりは慣れないなと思い私は苦笑いをする
しかし、私の目の前に置かれてある朝食は美味しそうだ

ペロリと平らげて、薬もポイッと口に入れる

「それでは、また呼ばれるまでごゆっくり」

本当にこんなゴロゴロするだけでお金がもらえるなんていいのだろうか

私は不安になりながらも、夏休みの宿題をこなしていく


「名字さん、よろしいでしょうか?」

「はーい、どうぞ」

また女性が入ってきて、ベットのそばまでくる
乱れた髪を整えながら起きあがる

「今日は少し触診をしても宜しいでしょうか?」

触診?触ることだよね?
まぁそんな触られて困るようなこともないから、いいかと思いながら承諾する

「それでは腕から失礼します」

肩から手の先にかけてマッサージのように触っていく
本当は触診ではなくマッサージなのではないかと疑いたくなるほど巧みな指に少し眠くなる

「それでは足を触りますね」

今度は太ももから足の爪先にかけて触っていく

「…………フフっ、アッハハーーッ」

手と違ってくすぐったく感じてしまい思わず爆笑してしまう
すぐに口を手でおさえながら、笑いをとめるものの意味はなさない

それにしても、この女性微動だにせずに私の足を触るな〜と感心しながら私は笑い続けた

「お疲れ様です
もう終わりです」

こうして2日目も終わりを迎えた









「おはようございます」

三日目だが、全然苦ではないぞと思いながら朝食をとる

サプリメント?もきちんと摂取して朝食は終了となる

「今日は採血をいたします」

そうしてなれた手つきで私の血をとっていく
今日はこのあと何をするのだろうと思いながら空を見上げる

「名字さん、今日は少し体を動かして頂きます」

またスポーツテストをするのかと少しがっかりしながら、女性のあとを着いていく

そして一昨日と同じ部屋、多方面から監視されているところに連れてこられる

「おお、あの子がすごい怪力の持ち主か」

「あんなひ弱そうなのにな」

「まさに、あの声で蜥蜴食らうか時鳥………だな」

何処かで声がしたと思いながら、周りを見渡してもこの空間には隣にいる女性しかいない
いるとしても、私を透明なガラス越しで見ている研究者達だけだ
その人達の会話が聞こえるわけはないし

空耳かなとおもい、目の前にあるパンチングマシーンをみやる

これは疑われている
私が怪力女であると…………

「今度は本気でお願いいたします」

淡々とそう言われても、私は本気ではやらないぞと心に決めながら、そのパンチングマシーンの前に立つ

これは目の前にあるミットにパンチを当てるとパンチ力の数値がでるという機械だ
こんなものがこんな研究所にあること事態に驚きを隠せない

私は軽く当てるようにしてそのミッドに拳を当てた…………つもりだった

「え?うそ?」

本当に触れただけと思っていたのに、ミッドは壊れて弾けとんでしまった
力の加減を間違えた?いやそんな筈はない
幼い頃の私ならやりかねないが、すでに高校生にもなった

本当に細心の注意さえ払っていれば力を出しすぎることはない

ならば、何故目の前にある機械は壊れてしまったのだ

「本気ではないようですが、ありがとうございます
いい資料がとれました」

私は初めて恐怖を感じたのだった
でも、今さらそんなことに気づいても遅かったのだ

そして、また耳に響いてくる会話

「素晴らしい!」

「なんとしてでも組織のメンバーにするぞ」

私は耳を塞ぎたくなった
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