ジョ/ジョ短編(長編の番外編)

□ディオルート
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運命の時……

私は世界が消え去るとき何をしたらいいのか?
そんなことを考えていたらいきなり地震が発生した
この大地震が世界を滅ぼす前兆のようなものなのかと思いながら、テーブルにしがみついていた時だった

いきなり私の部屋にディオが出現していた

「何をしている」

「地震が来たら机の下に潜れって教わらなかった?というか、ディオもこっちに来た方がいいよ!」

そんなところにいたら、天井から何か降ってきたら怪我をしてしまう

「フン、お前は今日も相変わらずだな」

それは褒めているのだろうか
不適に笑いながら私の腕を強引に引っ張り、机の下から引摺りだされる

「ちょっ、ちょっとディオ!危ないよ!?」

「こんな揺れごとき、造作もない」

確かにバランス感覚がいいのか、ディオは直立不動に立っている

そして私の二の腕あたりを掴み支えてくれている

「確かに・・ディオ体幹がいいんだね〜」

「はぁー・・・・お前と話していると、気が抜けるな」

呆れ顔をしながら、私を見下ろすディオはどことなく嬉しそうだ

「そう?ありがと、いかなるときも、リラックスが大事だよ」

「お前は気を引きしめたほうがいいと思うが?」

そういうディオだってこんな地震の最中でも楽しそうではないか

「これでも毎日引き締めてますよ・・・・
そういえばどうしたの?わざわざ、時間を止めてまで瞬間移動して来ちゃって」

普通に歩いてきてもいいと思うのだけど
時間を止めてまでここに来る理由とは何だろうか

「ああ・・・・そうだったな、おまえとバカな会話をしていたから、忘れていた」

さも私のせいみたいに言うが、ディオだって楽しんでいたのを私は知っている

「これからお前は絶対に部屋からでてはならん」

出てはダメだと言われても、もともと出てはダメと言われているから、出る気もない

「どうして?今日もディオの愉快な仲間達が来ているから?」

「なんだ、そのアホなネーミングセンスは」

やれやれといった感じに、息を吐いている
しかしこの地震の最中に仲間達をほっといて私のところに来ても良かったのだろうか

「ナイスなネーミングじゃない?」

「思わん・・・・それよりさっき言ったこと、忘れるではないぞ」

真剣な表情で私の両肩に手をのせる
乗せた手が肩を掴んで少し痛かった

「・・・・わかった」

私が頷いたのを見るとディオは私の額にキスを落した
まるで良い子だと言わんばかりに…………

そして、ディオは背中を向けて歩きだしてしまった

「待って!」

私は手を伸ばして、ディオの手を掴む
その大きな手は昔なら憎らしいとしか思わなかったが、今ならこの手に感謝している

「なんだ」

振り向いて私を見てくれる
赤い瞳は怖いと思っていた、でも今ならその瞳を好きだと思えるようになった

「あのね、・・・・あのね」

良くわからないが、涙がでそうになる
なんでだろう・・・・
目の前にいるのはディオなのに、ジョジョの顔が被る

「帰ってくる」

私の心を覗いたかのように、ディオは優しく頬笑み、私の頭を撫でた
ジョジョも私にそう言ってくれた
でも、最後はジョジョは帰ってきてくれなかった

ジョジョは死んでしまった
私を置いて……いや、あのときは私の方が先に逝ってしまった

「……いかないで」

駄々っ子のような言葉がでてしまい自分でも驚いてしまう

別にディオは死ににいくとも言っていない
もしかしたら近所に買い物にいくだけかもしれない……いや昼間だからそれはないか
ならば、仲間と話をしにいくだけかもしれない

それでも世界が消え去る日が今日のような気がする

「珍しいな……おまえがそんなことを言うなんてな」

真っ赤な瞳は驚きの感情を物語っていた
それほど我が儘をディオに言ったことがなかったのだろう

「何故か胸騒ぎがするの……それにエンヤお婆さんが言ってたことが今日のような気がして」

「エンヤ婆は何と言っていたのだ?」

真っ直ぐと見下ろしてくるが、それに少しだけたじろいでしまう

言った方がいいのか……私の中で迷いが生じる

「……ただの占いだよ
じゃあディオが帰ってきたら教えてあげる」

私は曖昧に微笑む
世界が消えるだなんて言ったらそれこそ笑い飛ばされるだろう

そんなことはありえないと……

「…わかった、おまえの元へ必ずや帰る」

帰るという言葉に私は胸の奥がツキンと痛む
そしてディオが背を向けてドアの方へと歩きだした背中に向けて言う

「……ディオ、私今日は約束破っちゃうかも
ごめんね」

部屋からでないなんて今日は出来ないだろう
私は自分で世界を守らなければならないのだから

「……今日だけは許そう
だが、おまえも俺の元へ帰ってくるのだぞ」

「勿論」

私は大きく頷く
私の帰ってくるべき場所はディオしかいないのだから

そして、ディオは今度こそ振り向かずドアから出ていってしまった

地震はまだ、おさまらない
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