コ/ナ/ン

□8章 DC
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今日も私は違法組織の拠点に乗り込み、壊滅に追い込んだ

やはり久しぶりに任務をこなすと身体中が疲弊するし、勿論精神も削られる
一人一人の記憶を消し去るわけだから、私はそのたびに心を痛める

「お疲れ様です、ドアノブさん
帰りましょう」

隣に立っている勇太さんはビシッとスーツを着こなしている

今日は真ん中分け君ではなく、勇太さんが私のフォローにまわってくれた
いつも来てくれていた真ん中分け君は新ちゃんの方に着いていっている

なんでも、ベルツリー急行に参加するらしく、それに激辛カレーも関わってくるかもしれないということから、真ん中分け君にいってもらっている

私は私でこの組織を潰すお達しが日本人さんからでていたから、此方を優先した

それに、私が行っても列車を壊してしまいそうだしね

「よし!帰りましょう」

私は意気揚々と車に乗り込もうとしたときに、勇太さんがゆっくりと私の耳元に顔を近づける

普通なら少し胸が高鳴ってしまうかもしれないが、私たちの場合は耳元に顔を近づけるということは誰にも聞かれてはならない情報を話すという意味だ

辺りを見渡しても、先程壊滅状態に追い込んだ組織の人達が気絶しているから、聞かれる可能性もない

「実は………………安室透のことなんですが」

幼馴染みの名前がでてきて私は一瞬だけ驚くが、直ぐ様冷静になりその声に耳を傾ける

「あの人は公安の方かもしれません
名前さんが仰っていた降谷零でよく調べたらでてきました」

「それなら、黒くんは味方ってこと!?」

思わず私は跳び跳ねてしまう
それほどその情報は私にとっては嬉しいものだった

「………………いえ、もうひとつあります」

その神妙な面持ちの勇太さんに私は唾を飲み込む
嫌な汗が頬を伝う

「あの人は激辛カレーに所属しています」

「でも、それはスパイとして………ですよね?」

公安はそういう活動もしていると聞いたことがある

しかし、私のあまっちょろい考えを否定するように勇太さんは首を横にふる

「その逆もあります
公安の情報を流すために激辛カレーに所属しているという可能性が………………」

そんなのは考えすぎだとは言えなかった
もしものことを考えていないと、こちらが殺られてしまう
それこそ私は黒君に思い入れが強すぎるから騙されやすいだろう

でも、黒君になら騙されてもいいかな………………なんてバカな事を考えてしまう



そして、そのあとは車に乗り無事に自宅に帰宅した

倒れこむようにベットに横になり私は眠りついた




暫くして私は電話の音で朝、目が覚めた

手を伸ばしながら携帯に触れて慎重に掴む
通話ボタンを押すと、すぐさま真ん中分け君の声が聞こえてくる

「名前さん!やっぱり安室さんは激辛カレーでした!」

安室さんは激辛カレー?
そんなカレーが発売されたのか?
寝ぼけた頭では解読するのに時間を要してしまう

「ん?カレー?」

「ちょっ!名前さん寝ぼけないでください!
あの激辛カレーですよ」

だんだん頭が覚醒してきた
そして理解が追い付き私はやはりそうだったかと項垂れた
昨日、勇太さんから聞かされていたけれど、他の人から改めて告げられると黒君が本当に黒の組織の人間なのだと認めざるおえない

「…………そっか、黒君が」

「帰ったら詳しくお話ししますので」

そう言って切れた電話を私はテーブルの上におく
そして私はまたベットにねっころがり、手で自分の顔を覆う

まさか、黒君が本当に激辛カレーだったなんて
心のどこかで、黒くんは本当は組織の人間ではないと信じていた自分がいた………………







数時間後、真ん中分け君が私の部屋にやってきて昨日のことを話してくれた

黒君が灰原さんを組織に引き渡すために、灰原哀ことシェリーに近づき、そしてそこで黒君は自分のことをバーボンと名乗ったらしい

やはりほぼ100%組織の人だということが判明したが、昨日勇太さんから聞いた情報の事も思い出した

「勇太さんが降谷零という名前で調べていたら別の役職である可能性も浮上したらしいの」

「それは?」

「公安……だって」

私もその公安というのはよく分からないが、昨日少し調べたら国の安定を脅かす可能性のある組織の情報収集などと書いてあった

それならば、黒の組織の情報収集としてスパイとして忍び込んでいる可能性もある

「なら、激辛カレーの人ではなく公安という線の方が強いですね」

真ん中分け君が私と同じことを思っていることに少し安堵する

「私もそうだと思った…………でも、勇太さんの見解だと逆の可能性もあるみたい」

「公安の情報を激辛カレーに流しているという線ですか…………それもあり得ますね」

そうなのだ、私は公安であってほしいと思うのだが、まだはっきりわからない状態で黒君には下手なことは言えない

「まだ監視をする必要がありそうですね」

「そうだね…………で、その黒君は今はどこにいるの?」

もしいたら、私はどうする
問い詰める?それとも今まで通りを貫くか
どちらを選んでも辛いものがある

「それが、突然消えてしまいまして
すみません」

その言葉に心のどこかで安心してしまっている自分がいることに嫌気がさす

まるで嫌なことから目を背けている子供のようだ
我ながら情けない

「いや、大丈夫だよ
多分どちらにせよ、あの子は戻ってくるよ」

おそらく、あの子は名探偵コナンのなかで主要人物みたいだし
私は初期の方しか見ていないから知らないが、おそらく後々出てきていたキャラクターなのだろう

「それまではこっちの溜まっていた仕事を片付けよう」

私はブラックバードから送られてきたメールを返信する作業にとりかかる

「それもそうっすね
んじゃ、また何か情報がはいり次第連絡します」

そう言って真ん中分け君は、自分の部屋へと帰っていた
そして一人静かな部屋に残され私は天井を見上げ、今はいない新ちゃんに会いたいと思ってしまう

そのためにも私がはやく激辛カレーを倒さないと
私は気を引きしめてノートパソコンを開いた
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