second story
□神松宅訪問
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僕達は今、運動会で出会った神松の家に向かっている。あいつが赤塚市内で住んでたなんて思いもしなかった。再び僕達の前に現れたのは嫌な予感でしかない。
トド松がスマホで住所を入力してナビで案内して貰っているが住宅街からはどんどん離れている気がする。本当にこんなとこに住んでるのか。心配になった為トド松に確認する。
「トド松、本当に道あってる」
「うん。チョロ松兄さんの段ボールより間違いなく正確だよ」
「いちいち余計な一言が多いよなお前」
本当自分だけが皆と違って流れに乗ってるアピール腹立つ。
「着いたよ」
「え、ここって・・」
着いたのは小さな食堂だった。神松はここで働きながら住んでるようだ。
「やぁ兄さん達いらっしゃい」
神松は店員らしくお店の割烹着を着て現れた。僕達は皆呆気にとられている。
「お前お店やってんの」
「うん。半年前までは会社で働いてたんだ」
脱サラか。おそ松兄さんが話した後僕がその理由を聞いてみる。
「会社辞めて何で食堂始めたの」
「僕が会社に勤めてた時にこの食堂をよく利用していてね。半年前に経営してた夫婦から食堂を閉めるという話を聞いてぼくが継ぐ事にしたんだよ」
僕らは「へー」「ふーん」「ほー」と言ってそれぞれ相槌を打った。
「今日は休みー?」
「うん。平日だけ営業してるんだ」
平日だけというのは会社員や学生の利用が殆どだからだ。休日も料理の仕込みをしなければならないから大変な仕事だと思う。
それだったら僕だったら脱サラなんてしないで普通に会社で働いている。まっ、仕事に就いたらの話なんだけどね。
メニューを眺めていた十四松のお腹が鳴り僕は時計を見るとお昼をとっくに過ぎてる時間になっていた。
「あはー、お腹空いちゃった」
「俺もー。神松ー何かタダで食わして♪お金ないからさ」
「おそ松兄さん、いくらニートだからって図々しいよ!」
「いいよ。他の兄さん達も好きなもの頼んで」
「ええ〜っ!いいの!」
「うん」
神松は最初から僕達に御馳走する気だったらしい。本来ならお金払わなきゃならないのに。僕達は有り難く頂く事にした。