アスキラ♀

□月の出会い
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学校への挨拶を一人で済ませたアスランは、少し驚いたような様子の理事に担任教諭を紹介され、教室へと案内された。
月の幼年学校とはどんなものかと思っていたけど、プラントと対して変わりはなさそうだった。早い時間の到着だったことでまだ生徒がまばらの校舎は綺麗に清掃されていて、悪い印象ではなかった。

「アスラン、ここが君の教室だ。席は、えーっとどこが空いていたっけな」

手元のファイルに目を落としながら言う教師が、廊下から教室へ入ってくる女子生徒に気付いて顔を上げた。

「お、ちょうど良かった!おはよう、今日は早いな」
「先生ー!おはようございまーす!」

教師が声をかけた生徒は手に花が活けてある大きな花瓶を持っていて顔が半分以上隠れている。前が見えていないんじゃないかと心配になって、アスランは思わずその花瓶に手を伸ばした。

「ほえ?だぁれ?」

花瓶がアスランの手へと渡ったことで花のカーテンが消えて、途端に花よりも鮮やかな大きなアメジストが現れた。不思議そうに瞬きを繰り返してアスランを覗き込んでいる。とても愛嬌のある可愛らしい顔立ちの少女だった。
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