アスキラ♀

□月の出会い
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母と二人で月のコペルニクスに身を寄せた。評議会委員に選出されたばかりの父が、身辺をより強固にするためにアキレス腱ともいえる母と幼い息子を一時的に遠くへ置いたのだ。表向きは母の研究のためということになっていたが、そんな理由を信じるほどアスランは子供ではなかった。
もともと仕事が忙しくて家にはほとんどいない父だったし、母も研究で忙しくしている人だったから家では通いのハウスキーパーと二人きりという暮らしだった。月に移ってもその生活は変わらないだろうし、アスランにとってはそこがコロニーなのか衛星なのかの違いくらいしかなかった。

移住はあっという間に済んだ。父の側近が手配したのだろうシャトルに乗り、月に到着して案内されるままに向かった先には母と二人で暮らすにはもて余すくらいの大きさの屋敷があって、中に入ると家財道具などがすでにあつらえてある状態でアスランたちを出迎えた。
慣れない新しい屋敷で手持ちぶさたのアスランに、案内人は学校も明日から通えるようになっていると言い残して消えた。なんと首尾のいいことだとなかば感心しながら、この新しい街で他に用事などもなく、アスランは淡々と明日から登校する旨を母に告げた。
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