グリチネ
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万里side
「なー、O高のアイドルって呼ばれてる子知ってる?」
「知ってる!俺めっちゃファン」
適当に学校でつるんでる奴らが騒いでいた。
正直途中でサボって帰りたかったがこの間進路票を受け取らずにバックれたせいで説教を受けるハメになった。まじでだりー。次バックレたら家行くといわれたから仕方なく職員室で話を聞いてきた。こんな時間まで学校にいるのレアだわ。
放課後の教室に戻ってくればこっちは疲れているというのに周りの奴らは他校のアイドルとやらの話に夢中だった。
「は!?まって?????」
「どした?」
「校門前にいるのアイドルちゃんなんだけど」
「は?そんなわけ…
マジだ!!!」
「まって可愛すぎんだけど」
「O校転校してぇ」
「いやいや俺ら3年だからもう九月まで来ちゃってるから」
なにを馬鹿なことを言ってんだと思いながら校門の方を見たら昔からよく知ってるやつの顔があって思わず「は?」と声が出た。
「どーした万里可愛すぎて驚いたか」
「いや万里に限ってそれはねーだろ」
「それは無い。とりあえず俺帰るわ。じゃ」
そう言って教室を出た。
アイツらが言っていたO校のアイドルは隣の家に住む一つし年下のやつだ。
アイツは昔から顔が整ってて可愛かった。一緒にいた頃は小学生とかだったがそれでも周りに可愛い可愛いと言われていた。本人は全然それを自覚していないが。
自分で言うのはなんだが、優愛には好かれていた。
だけど中学に上がって俺はいわばヤンキーになり、優愛と関わるのが面倒くさくなってあいつを切った。
それまで俺の後を付いてくるばかりだったから縁を切りたいと言えば泣きつかれるんじゃねぇかとかも思ったが優愛は何も言わなかった。
俺はアイツを傷つけたんだろうな。
まあ5年も空いたわけだし、さすがに俺に用事じゃねぇだろ。
どーせ彼氏とか待ってんだろ。顔は可愛いし。性格くっそ子供だけどな。ほんと世話かかるんだよな、コイツ。
考え事をしながら靴を履いて玄関を出て校門に行くと
「万里!!!」
案の定優愛が話しかけてきた。
「……」
いや、5年も口聞いてないのになんで?
素通りしようとしたら
「ちょっと」
そう言うと優愛は腕を掴んだ。
「嫌だったら話しかけるのはこれで最後にするからちょっと話しませんか」
別れ話が進んでる恋人か。と心で突っ込んでいたら周りにから
「え、アイドルちゃん摂津さんと?」
「うわ、アイドルちゃんに腕捕まれてぇ」
「えー、摂津くんにはもっと大人っぽい子のが似合う」
「そうかなー?摂津さんってヤンキーだけど綺麗な顔してるから結構しっくりくるけど」
「パッと見系統真逆だけどな」
「そういや最近摂津女の噂聞かねぇよな」
「じゃあ……」
目立ってんな、だりー
「移動すんぞ」
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