グリチネ

□6
1ページ/3ページ


昨日は寝れなかった。
くまは酷いし目は充血してるし不健康の極みって感じだ。

誰とも話したくないと思って教室に入れば久しぶりに1限から目立つオレンジの頭が教室にいた。

「あれ、天馬今日は1限からいるんだ」
「ああ。お前顔ひどいぞ」

久しぶりに1限からいると思って声かけたら開口一番これ?
ムカついたので机に突っ伏して話すことにした。

「・・・・・・
年頃の乙女にそんなこと言っちゃいけませんよ」
「テスト勉強のしすぎか?いや、お前に限ってそんなことないよな」
「今日の天馬くんは失礼だね」
「お前が辛気臭いと気持ちが悪い」
「今悩める乙女だからもっと優しくして」
「どうしたんだ?
あ、そういえばお前の幼なじみって万里さん?」
「は?」

驚いて思わず机から顔を話してしまった。

「違うのか?」
「いや、そうだけど」

万里が私のこと幼なじみって話したのかな。だったら嬉しいけど違うな、変な期待はやめよう。

「お前の呼び方で気づいた。」
「え?」
「人見知りだから初対面じゃ絶対名字にさんとかくんとか付けるのに万里さんだけ呼び捨てだった。」
「観察力いいんだね」
「フッ、まあな」
「もう話せないかもしれない」
「今度はどうしたんだよ」
「帰り駅まで送ってもらってたんだけどちょっとムカついて私がキレて別れた」
「それだけか」
「え」
「万里さんもお前より年上なんだし適当な人だしそれくらい許すだろ」
「そうかな・・・・・・」

小学生の時縁を一方的に切ってきたのは万里だった。
その万里が私との接触をもう一度許してくれた訳が分からない。
すごく嬉しい事だったのに、寮に来るなと言われただけでその嬉しさが飛ぶくらいパニックになってしまった。
また、縁を切られるのではないかと思ってしまった。
あの時は万里といるとあの時の悲しみが思い出されて辛くて逃げてしまったけど逃げるべき所ではなかった。
それでもいてもたってもいられなかった。

縁を切られたのにもう一度話したいって自分はお願いしたのに、万里の頼みは聞かなかった。いや、あれ頼みなのかな。分からないけど。

分からない。

もう一度机に突っ伏してしまう。

すると見かねた天馬が

「そういえば、土曜幸が話したかったのに話せなかったって嘆いてたぞ」
「え、嬉しい」

といいつつも顔がぐちゃぐちゃなので机に突っ伏したままだ。

「テスト終わったらまた寮に来ないか?他の夏組のメンバーも話したがってるぞ」
「・・・・・・うん、考えとくね。」

幸くんや他のメンバーとも話したいけれど流石にすぐには、行けない。
天馬って、こんな風に人の喧嘩とかも心配してくれるんだな。優しい。

あの時だってアドバイスくれたしな。

いつだって味方になってくれるなぁ

「ありがとう。」


·
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ