● 2 in 1

□オモヒデ
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放課後の正門前で私はある人を待つ。

「ごめん、待った?」

「そんなことないですよ、私も今来たばかりですから」

「そっかぁ……じゃぁ、帰ろっか」

「はい!」

この人が私の待っていた人。
少し頼りないところもあるけれど、優しい人。

この人と居ると心が温かくなっていく……

これが“恋”なのかな……

「ももちゃん?」

「ひゃぁ!?」

急に声をかけられたから、変な声が出ちゃった……

案の定、あの人は驚いた顔をしている。

「どうしたの?」

「な、何にも無いです!」

「そっかぁ……ねぇ、寄り道していかない?」

この人はニコニコ笑いながら、クレープ屋の屋台を指差している。

「はい!」

屋台なんていつぶりだろう……
最近は見ることないからなぁ……

その人は私にクレープを買ってくれた。
それが嬉しくて、 クレープを食べることを勿体無いと思ってしまう。

「今日の夜、一緒に星を見に行かない?」

「星、ですか?」

「星が綺麗に見える場所を知ってるんだ」

「是非、行きたいです!」

「よし、じゃあ決まり!8時に校門前ね」

「分かりました!」

星も、最近は見れてないからなぁ……

家に帰って、着替えたり、晩御飯を食べたりしていたら、 7時になってしまった。

私は先に校門に行って待っていよう。

そう思い、早めに家を出た。

校門前にはもうあの人が来ていた。

「それじゃあ、行こっか」

「はい!」

私達は、学校の近くの丘に登る。 その丘の頂上で寝転がって星を見る。

二人きりの時間がとても愛おしい。



私はこの人に“恋”をしている。


でもそれは、叶うはずのない“恋”。


私はこんな風に、普通に暮らして、普通に“恋” をしてみたかった。


霧の魔物も居なければ、クエストもない。


そんな生活をしてみたかった。


目を瞑ってしまえば……


このまま目を瞑ってしまえば…


みんなにまた会えるのかな……


あの人にも会えたらいいな……
 

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