ジョースター家は今日も平和です
□つんでれれれ兄貴
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「んん、ん……んー……」
ぱちり、
まだ冷える早朝。
嫌な不快感と隣から聞こえる呻き声の様なモノが目覚ましの代わりにジョナサンの頭にスイッチを入れた。
呻き声…隣のディオの声だ。
「…ディオ?ディオ?どうしたの」
「ぅう〜……」
背を向けていた身体をこちらに転がすといつもより顔が赤い。息も少し荒い気がする。
嫌な予感がしてジョナサンは自分の額をディオの額にくっつけて予感を確信に変えた。
(……熱だ)
ぴぴぴと軽快な電子音を確認して、体温計を覗きこむと『38.7』の数字。
昨日無理をさせただとかもしかして身体を冷やしたのかと思考をぐるぐる巡らせるがディオが本格的に目を覚ますのと共にやがてその考えも吹っ飛んでいった。
辛そうに重い身体を持ち上げて起きようとするディオをやんわりと制止してとりあえず今日はゆっくり休もうと伝えるとディオは大人しく了承した。
さて、肝心の看病だが。
「俺とシーザーちゃんはお昼過ぎぐらいまで授業とってるしジョナ兄は今日大事な会議あんだよな?だとしたら家にいんのDIOだけじゃねーの」
「ふん、私はあんなの看病しないぞ。」
「実の兄弟だろ?何でそんな仲わりーんだか」
「俺が学校サボればいいだろ。最悪粥とかは作れるぜ」
と、いった感じに承太郎が看病する事になった。高校をサボる事にジョナサンは眉を潜めるばかりだったがジョセフの言いくるめで何とかなったらしい。
何処か不安そうではあったがディオを宜しく、と言ってジョナサンはばたばたと玄関を出た。兄貴の恋人に変な気起こすなよとからかうジョセフは後でぶん殴るとして。
「おい、平気か」
「ああ、何てことない…」
口では何ともないとは言うがやはり辛そうなのは明確だ。
くしゃりと汗ばんだ髪を撫でて先程ひとっ走りして買ってきた冷えピタを貼っておく。本来なら、これは恐らくDIOの仕事なんだろうが頑なに本人はやらないと言うので一応。
「なあ、アンタDIOとそんなに仲が悪かったか」
「はぁ?」
「…DIOが看病なんぞしたくないだのほっとけだの言うからな」
「ふん、あんな奴は知らん。実の兄弟だろうがそんなの関係ない。そんな奴だからな。だから俺も知らない」
「…アイツらしいと言えばそれきりだな」
ジョースターの様に特別仲が良い訳でもない。それに対してディオは何処か寂しさを隠す様に強気に声を張る。
もしかして風邪のせいでただ単に弱っていただけなのかもしれないが少なくとも承太郎には、やせ我慢にも似た事をしているのだろうと分かった。
ジョナサンという義理の兄はいれど、やはり実の家族はディオの中でもトクベツだったらしい。
「いらん話をした。もう寝る」
「昼頃になったら声かけるぜ。」
「ああ、頼む」