読み物

□帝王様は今年も元気
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「ふははは承太郎!!明けましておめでとうだ今年こそ貴様の血を吸い付くしてやるぞふはははははは!!!」

「う、わぁああああああ!!!」

突然障子を蹴破って高笑いしながら突撃してはジョースターは馴染むだとか早く寄越せ貴様(の血が)欲しい承太郎!!と訳の分からない事を繰り返すDIOと身動きが取れず間抜けた声を上げる俺。DIOが血液が欲しいと俺の首筋をかきむしる。遠くなる意識。感じない激痛の中で狂ったDIOを眺めながらゆっくりと目を閉じた………






「……というのが今年の初夢だった」

「そうか、半分ぐらいが正夢とはもしかしたらろくでもない年なのだろうな。今年は」

「てめーのせいだ……」

夢の通り蹴破られた障子を横目に炬燵へと顔を埋めた。図々しくも炬燵に入っている吸血鬼の冷たい足を蹴ると不満そうな文句が突いて出た。
畜生、文句を言いたいのは此方だアホ。
もしあれが正夢になるのだったら俺はDIOに何も抵抗も出来ず首を掻き毟らて死ぬのだろう。クソ。夢とは言えど屈辱的であろう。悔しくてもう一度足を蹴った。蹴り返された。

「このまま夢の通りなら私は気が狂った様に貴様の首を……やってやろうか?」

「新年早々気が重くなりそうな事を言うんじゃあねぇぜ」

「冗談に決まっているだろう」

「つーかお前何しに来たんだ」

「暇だから遊びに来た」

「馬鹿野郎」

相手のペースを自分のペースに巻き込んでいく帝王は今年も自由奔放で気ままらしい。こんな奴とまた一年いるのだと思うと鬱陶しかったり嬉しかったり。何ともまあ煮えきらない。
もやもやするのでまた足を蹴ってやろうかと思ったが今度こそ喧嘩の火種になりかねないので思うだけでやめた。
ふと真っ正面を見るとテレビの娯楽番組を見てクスクスと笑うDIOの横顔が目に入る。黙っていれば綺麗だとは思うのだが。

「なんつーか…お前そのまま黙ってりゃ可愛げはあるのにな」

「それはこのDIOに微笑してるだけのマリオネットになれと?気色悪い」

「あれだ、今年の抱負。『奥ゆかしい大和撫子になる』とかはどうだ」

「それは貴様のタイプだろう。そんな女が欲しいなら私と別れて探せばいいさ」

出来ない事を知っている癖に意地の悪い奴だ。よく考えてみればその我が儘で何処までも我が道をのしのしと歩くDIOを好きになってしまったのだからもう完全に毒されている状態である。
病気だ。がっくりと頭を下げて項垂れているとDIOが思い出した様に話す。

「それに私はその抱負?とやらを決めているのだ」

「へえ、世界を支配するとかだったら諦めな。俺がいる限りはな」

「安心しろ。寧ろ貴様がいるからなのだからな」

「?」

呆気に取られた俺をにやついた表情で見つめて子供が内緒話をする様に耳元に口を近づけた。

「……それは去年もだったろ」

「ふふ、貴様がいる限りはこうあり続けるつもりだ承太郎。これからもよろしく、だな」

「今年も、の間違いだぜ」



『貴様の愛した私らしい私であること。』

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