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□風邪引きさん
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今日は久々にオフ。
それに、ただのオフじゃない。
そう。
涼介もオフなのだ。
だから今日は涼介の家に行って、ゆっくり一日を過ごすことになっていた。
はずなのに、
涼介から届いたLINEによって、それが不可能だと知らされた。
『おはよ。知念、悪い、今日ちょっと無理になった。』
僕は何度もその文を読み返した。
五回目読んだところで、やっと文の意味がわかった。
なんで?どうして?
聞きたいことは山ほどあるのに、素直になれないのが僕で。
『うん、わかった。』
それだけ送った。
これだけで涼介ならわかってくれると、僕の気持ちを理解してくれると淡い希望を抱いていたが、それからというもの返信が返ってくることはなかった。
することもなく、正午を回ろうとしていた頃だった。
忙しくなるスマホに一瞬涼介かなと期待したものの、相手は涼介ではなかった。
「もしもし大貴?なに?」
『いや、山田に知念をよろしくって言われたから。』
僕の頭にハテナが浮かんだ。
「なにそれ、どういうこと?」
大貴に聞いても、言葉を濁すばかりでなかなか話そうとしない。
「ねえ答えないと怒るよ本当に。」
僕は痺れを切らして、いつもより低い声で脅した。
『まあ、言うわ。山田には口止めされてるんだけどさ。山田、今日高熱出たらしくて、だから俺の代わりに知念の世話してやってくれって頼まれたの。』
だから今日は誘いを断られたのか。
LINEの返信が返ってこなかったのも体がだるかったんだね。
「わかった、ありがとう大貴。」
電話を切り、財布とスマホを手に持って家を飛び出した。